元巨人盗塁王・藤村の現役時代と異なる魅力 ファンイベントで注がれた拍手
7年前の2012年。最初にこのイベントに来た時は、日本一のパレードの後だった
藤村コーチは07年に高校生ドラフト1巡目で熊本工から巨人入り。2011年に俊足と広い守備範囲を武器に頭角を現し、盗塁王を獲得した。試行錯誤を繰り返し、その後はタイトルを獲得するほどの活躍はできなかったが、選手の期間で得た苦い思い出も経験値とし、後進の指導にあたっている。
12月。選手はオフだが、育成選手は練習が待っている。藤村コーチも若手と一緒に汗を流す。
「選手のオフのテーマが練習ならば、僕は勉強しようと。たくさん本を読んだり、外の情報を取り入れて来季に生かしたいです…。すみません。まじめで…」
ファンを喜ばすために面白いことを話そう、と考えながらも、素直な気持ちをストレートに表現してしまい、“謝る”藤村コーチには、温かい拍手が再び注がれた。
思い返せば、7年前の2012年。最初にこのイベントに来た時は、日本一のパレードの後だった。
「あの時は午前中に銀座で優勝パレードを終わってから宮国投手と来ました。『パレード、すごかったですね』という話をした記憶があります。今年はリーグ優勝をしましたが、(パレードを)体験できなかった。来年はパレードをして、そのメンバーがここでトークショーできたらなと思います。そうなるようにサポートをしていきたいと思います」
18歳で東京に出てきて、右も左もわからないまま、常勝軍団に飛び込み、戦い続けた。タイトル、優勝、日本一、そして1、2軍を行き来する苦悩。憧れだった巨人以外のユニホームを着ることは考えられず、引退を決意した。
そんな藤村コーチは今年の7月で30歳になり、指導者となった。ただ立場は変わっても、ファンを喜ばそうとすることを第一に考えている姿は、この日の言葉の選び方で伝わってきた。「学」んだ1年で、また違った魅力を披露した。