チーム防御率はリーグ1位、球界屈指の「勝利の方程式」… 19年ホークス投手陣を振り返る
ノーヒットノーランの次回登板で見せたエースの証明
あと一歩のところでリーグ優勝は逃したものの、ポストシーズンを圧巻の強さで勝ち抜き、3年連続となる日本一に輝いたソフトバンク。今回は、特集動画「シーズンレビュー2019」で試合を振り返り選手にフォーカス。打者編、投手編に分けてソフトバンクの2019シーズンを振り返っていく。
チーム防御率3.63、同失点数564はいずれもリーグ最少だった。今季、2桁勝利を記録したのはリーグ全体で6人のみ。多くの投手が目標に挙げる基準ではあるものの、非常に高い壁であったことは間違いないだろう。そんな中、ソフトバンクでは2投手が2桁勝利を記録した。
1人目は千賀滉大投手だ。3月29日の開幕戦でいきなり161キロをたたき出す圧巻の投球を披露すると、以降もエースとしてローテーションを守り、自己最多の26試合に先発し、13勝を挙げた。特に、昨季の163奪三振を大幅に上回る227奪三振を記録。2位に60個以上の大差をつけて最多奪三振のタイトルを獲得した。奪三振率は11.33と、規定投球回到達者の中では唯一となる10点台に到達。被打率.128と抜群の精度を誇った「お化けフォーク」が、今年も決め球として健在だったと言えよう。一方で、今季はカットボールも多投。常時155キロ前後を記録する直球に対し、140キロ台後半の小さな横変化でバットの芯を外し、三振と凡打のどちらも狙える投球を確立した。
シーズンのハイライトとしては育成出身者初となるノーヒットノーランを記録した9月6日のロッテ戦が筆頭だろう。ただ、ここではあえて次回登板となった9月12日の西武戦に注目したい。西武には8月だけで2敗、うち片方は9失点での大敗だったが、この試合では8回1失点の完璧な投球で勝利投手となり、マジックも点灯させた。前回登板で133球を投げた疲労を感じさせない投球で、見事にリベンジを果たしたと言えよう。ちなみに、ノーヒットノーランを記録した投手が次の登板で勝利するのは、パ・リーグ23年ぶりであった。