チーム防御率はリーグ1位、球界屈指の「勝利の方程式」… 19年ホークス投手陣を振り返る
復活が待たれる好投手たち
だが、全ての投手が順風満帆なシーズンだったわけではない。ここでは、来季の奮起が期待される投手について取り上げたい。まずは大竹耕太郎投手だ。プロ2年目となった今季は4月に4試合に先発して防御率0.89と抜群の安定感を残したものの、打線の援護に恵まれず0勝。5月に2勝、6月には苦しみながらも3勝を記録したが、以降は打ち込まれる場面が目立った。キャンプを通して研さんを積み、来季はその笑顔を1試合でも多く見せてもらいたい。
東浜巨投手についても同様だ。今季は7試合の登板にとどまり、6月には右肘の手術に踏み切った。全治3か月で今季は戦列復帰とはならなかったが、秋季キャンプではブルペン投球を再開している。2017年には最多勝を獲得するなど実績は十分。期待を胸に、再びマウンドに上がるときを待ちたい。同じく復活を期す投手では、ポストシーズンで戦線に復帰し、好投した石川柊太投手の存在も忘れてはならない。2018年には13勝を挙げているだけに、シーズン中の活躍がチームの投手力向上につながることは間違いないだろう。
最後に、ファームで好成績をマークした2投手をピックアップしたい。まずは田中正義投手。今季は中継ぎとしてファーム25試合に登板し、防御率1.80の好成績を残している。一方で、1軍昇格を果たした7月10日の西武戦では、打者5人に対して1安打2四球、2/3回で降板と悔しい結果に終わった。キャンプ、オープン戦で積極的にアピールし、登板機会を獲得できるか。
もう1人が、杉山一樹投手だ。甲斐野投手に次ぐドラフト2位で入団すると、ルーキーイヤーはファームで22試合に登板し、防御率2.50の成績を残している。大きく注目されたのは9月7日の1軍プロ初登板・ロッテ戦だ。角中勝也外野手に対して投じた初球は、いきなり155キロを計測。1イニングを投げて2つの三振を奪い、無失点で抑える鮮烈なデビューを飾った。結局、次の試合で失点して登録抹消となったが、大きな可能性を感じさせた。甲斐野は一足先に表舞台で輝きを放った。杉山にもその後に続いてもらいたい。
来季は3年ぶりのリーグ優勝、そして4年連続の日本一をかけてのシーズンとなる。現状での実力、将来性ともに申し分ないだけに、懸念されるのは故障だけだ。今季、野手陣では故障者が相次ぎ、苦しい運用を迫られていた。先発陣と救援陣ともにフル回転をみせた投手も見られるだけに、このオフで蓄積した疲労を十分にリフレッシュしてもらいたいところだ。