【新春企画】ロッテ井口監督独占インタ・後編 佐々木朗希は焦らず育成「何十年に1人の逸材」
ゴッドハンドで引き当てた逸材 ダルビッシュ、田中将大の育成プランを参考に
――佐々木投手にはどうやってロッテの良さを伝えた?
「まずは、日本球界でNO.1のピッチャーを目指してくれ、ということは伝えました。いろいろ話を聞くと、縁があったのかなと思います。小学6年生の時にマリンスタジアムで投げたことがあるとか、2010年のロッテ優勝パレードをマリンで見たのがお父さんも一緒だった最後の家族旅行だったとか。なんか縁があったのかなって思います。
実際に会ってみると、思ったよりがっちりしていましたね。テレビで見ると、もっと細いイメージがあったけど。とにかく純粋な『いい子』という感じ。すごく気さくなお母さんが『最初は人見知りをしますけど、すぐ馴染みますんで宜しくお願いします』って仰有ってました(笑)」
――昨夏は話題になったが、大船渡高の監督は投げさせすぎずに育てた。
「球数を制限しながら練習して、ブルペンで50球以上は投げたことがない、と聞きました。こちらとしてはうれしい限り。入団後もプランに沿って育てれば、素晴らしいピッチャーになるんじゃないかと思いますね。育成プランは、トレーニングコーチや投手コーチと話し合いながら、ダルビッシュ(有)やマーくん(田中将大)のプランを参考にして作りました。本人にも提示して、1年目はこのくらい、2年目はこのくらい、と体の成長具合も見ながら、最終的には決めていこうと思います」
――佐々木投手がいて、藤原恭大選手がいて、安田尚憲選手がいて、2~3年後の1軍が今から楽しみ。
「そうですね。でも、最近そこに(平沢)大河の名前があまり出てこなくなってしまった。今年、大卒で入団してくる選手と同い年なので、そこに刺激を感じてほしい。期待しているからこそ、あえて大河には打たないと試合には出られないと言ってます。守備も必要だけど、ショートの守備だけだったら守備固めになってしまう。まずは打って、外野でも内野でも試合に出るチャンスを掴まないと意味ないよ、と言いました」
――期待するからこその厳しい言葉を本人がどう受け止めるか。ただ、平沢選手も花開いたら、投打に若手選手層が厚くなる。
「楽しみですね。今年は僕も責任として勝たないといけない部分はありますが、去年以上に若い選手を積極的に使おうと思っています。ある意味、ベテラン、中堅が控えになる可能性もありますよ。若手の成長と底上げを感じて、彼らが危機感を持ち始めてくれたことも大きい。これまでレギュラー陣は『いつまでも安泰』と思っている選手も多かったので」
――選手の意識に変化が生まれた。
「徐々に、ですね。試合中は戦う姿勢を前面に出していかないといけないので、途中で下がってもベンチに残って声を出すとか、そういう小さなことができるようになった。マリーンズのコーチ陣は優勝経験を持っている人がいっぱいいるので、その体験をどうやって選手に伝えられるかも大切ですよね。戦う姿勢を見せることが浸透した去年は、ベンチの雰囲気はすごくよかったです。マリンスタジアムに足を運んでくれるお客さんも毎年増えていって、だんだん強くなっているのを実感してくれているので、やっぱり今年なんとか応えたいと思います」