2019年の巨人はどうだった? クロマティ氏×篠塚和典氏…“最強OB”の特別対談(1)
2人が古巣への愛、“本音”を明かす、クロマティ氏「ハラさんが監督に戻ったことで…」
巨人OBのウォーレン・クロマティ氏と篠塚和典氏の特別対談が実現した。“巨人史上最強助っ人”と呼ばれたクロマティ氏と球史に名を残す巧打者の篠塚氏は7年間、チームメートとしてプレー。今も熱い友情で結ばれている。「Full-Count YouTube」では、対談の様子を公開中。その全容を全3回に渡ってFull-Countで掲載する。
第1回は「去年の巨人について」。6月からゲストとして巨人“復帰”を果たして若手を打撃指導したクロマティ氏と、解説者として巨人の試合を見てきた篠塚氏。原辰徳監督が復帰して5年ぶりにセ・リーグを制覇しながら、日本シリーズではソフトバンクに4連敗を喫した古巣の戦いぶりをどのように見ていたのか。その口からは巨人への愛、そして、多くの“本音”も飛び出した。
――去年の巨人をどう見ていましたか。
篠塚氏「よくやったというか、故障もありますし、1年通してなかなか全員が満足な形で戦うのは大変な中で、拾わなければいけないゲームをしっかり拾って、活躍する選手も日に日に違って……。そのへんが上手くCSまで行った感じがします。ソフトバンクは強い。これは力の差なので」
クロマティ氏「去年のジャイアンツで、ハラさんはいい仕事をしたと思います。日本シリーズに6年ぶりに導きました。1年間、スガノがプレーできなかった中で、チームは個性を示したと思います。オカモトはシーズン序盤に苦しんでいましたが、シーズン途中から改善しました。日本シリーズはソフトバンクにチーム全体で圧倒されました。ジャイアンツは今、ソフトバンクと対抗するために何が必要なのか理解しました。ソフトバンクはここ5年間で圧倒的な強さを見せています。でも巨人にとって去年は良い年だったと思います。日本シリーズの舞台に戻ることができました。これから巨人はもっと良くなっていかないといけません」
――原監督が戻ってよかったところは?
ク「ハラさんが監督に戻ったことで、チーム全体に安定感をもたらしたと思います。優秀なリーダーシップをチームが取り戻したことになります。リーダーシップ、リスペクト、チームの一員としていいプレーを見せることにつながりました。それがジャイアンツにとって大きかったですね。それがハラさんがジャイアンツにもたらした最も重大な部分。彼はジャイアンツの“顔”でもあります」
篠「スタッフも変わって、ある程度、自分で使いやすいというか、監督になる人はそれが一番やりやすいというのもあります。現役のときから一緒にやっているメンバーですし、監督を慕っているスタッフばかりなので、そういう時は強いですよね。『監督のために』という思いがあってみんなやったと思います。(2015年で1度)原監督が抜けても、その間に一緒にやっていた選手が残っているので、監督がどういう野球をやるかは分かっていました。そのへんが上手く合致して、いい雰囲気でやったと思います」
――去年最も成長した選手は?
ク「私が巨人に加わったのは6月ですから、4~5か月という期間でした。全ての選手を見ましたが、一番成長した選手は、オカモトだと思います。彼は成長しました。自分が“センセイ”として直接指導したから良いと言っているわけではありません。もちろんそれもありますよ。私が“センセイ”で彼を指導したから。バッティングとメンタルの部分で成長しました。これまでになかった部分です。5か月間……私は彼が成長していくのを5か月間、見てきました。新しい打撃スタイルの習得に集中しました。だから、今季一番成長したのはオカモトでしょう」
篠「成長というよりも、他の若い選手は安定して出ている選手もいなかったですし、一昨年あれだけの数字を残した岡本が去年どれくらいの数字を残すかという中での1年間の彼のバッティングを見てみると、数字的には(打)率がちょっと下がってますけど、全体的には成長した姿は十分に映っています。(クロマティ氏に向かって)クロはいつから巨人に入った? 6月? 彼が来てから本当に岡本は変わりました。彼の指導というものがちょっと雰囲気を変えてくれて、本人も、意外と無口で表情を出さない選手なのですが、そのへんをクロマティが表情を出しながら楽しく彼の言っていることを素直に受け入れたのがよかったのではないでしょうか」