高木勇人加入のユカタンとメキシカンリーグとは? 給料や過酷な環境を現地通訳が解説

7人の外国人枠を掴めないと開幕前に放出されることも…

 さらに昨年3月にメキシコ代表に選ばれて来日し、シーズンでも9勝5敗、防御率4.05の成績を残したホセ・サマヨア投手も先発当確だろう。メキシコでは先発は中5日で5人で回す(火曜に登板した時のみ、次の登板は中4日で日曜になる)ケースがほとんどで、先発として期待される高木は残された3枠の座を争うことになる。

 ユカタンは他にも米国人の先発でメキシカンリーグ5年目となるダスティン・クレンシャー投手、昨季米国の独立リーグ、アメリカン・アソシエーションリーグで先発として11勝2敗、防御率2.86の成績を収めた米国人左腕ルーク・ウェストファル投手とも契約。さらにリリーフとしてメジャー通算288試合に登板している元ヤクルトの米国人ローガン・オンドルセク投手を獲得した。すでにパナマ代表で元メジャーのエンリケ・ブルゴス投手も所属しており、投手だけでも外国人枠争いは相当し烈になる。

 7人の外国人枠から外れた選手は、キャンプ終盤、あるいは開幕直前にリリースされるが、その場合は給料はゼロ。メキシコでは契約は“月いくら”という契約を結ぶのが慣例となっている。キャンプ中はチームが各選手にホテルや3食を用意するため選手の負担はないが、給料が発生するのは開幕してからとなる。

 日本のように、契約選手にはシーズンの最後まで全員に給料が支払われるということはなく、例えば開幕から3日でクビになれば、給料は日割計算で3日分しかもらえないシビアな世界だ。夏のリーグでは1年目の外国人選手は月5000ドル(約55万円)から1万ドル(約110万円)が相場。メキシコ人の若手は1500ドル(約16万5000円)から3000ドル(約33万円)程度と言われる。

 結果が出ない場合は見切りも早く、投手、野手ともに数試合の出場だけでクビを宣告されてしまうケースも珍しくない。かつて同リーグでプレーしていたあるベネズエラ人投手は「チームが用意した家に住んでいたが、1年でルームメイトが6回も変わった。明日は我が身じゃないかと思って、いつもヒヤヒヤしていた」と話していた。選手の入れ替わりがいかに早いかがよく分かる発言だ。

(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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