伸びたのは「投力」だけではない 元燕戦士が第二の人生で感じる喜び

ヤクルトOBの度会博文さん【写真:編集部】
ヤクルトOBの度会博文さん【写真:編集部】

度会博文さんは08年で現役引退も、コーチの後に広報部や営業部で球団支える

 1993年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団した度会博文さん。内外野を守れるユーティリティプレーヤーとしてチームに貢献し、2008年に現役を引退。その翌年から2軍の守備走塁コーチを務め、2013年からは広報部、現在は編成部育成グループファームディレクター補佐兼広報を務めている。さらに一昨年から、年末に開催される小学5・6年生を対象とした12球団ジュニアチーム・スワローズジュニアの監督もしており、土日は練習に精を出している。

 昨年は再び「投げ方教室」にも携わってきた。ヤクルトが小学生の投力低下を防ぐために都内の小学校などで行っているもので、実は度会さんこそこの「投げ方教室」を立ち上げた人物なのだ。都内の多くの公園などではボール遊びが禁止され、子どもたちは普段思い切りボールを投げる機会があまりない。投力の低下に歯止めをかけるために誰か教えてくれる人はいないか――。例えば、ヤクルトグループが行っている胃腸など体のつくりを学ぶ小学校の出前授業「おなか元気教室」のようなものができないか、という相談を受け、「それなら僕が教えに行きますよ」と神宮球場の周りの小学校から始めていった。

 一時期は部署が変わり、離れていたが、投げ方教室を行っている広報部の河端龍さんに声をかけられ、再び、子供たちの前で“先生”を行った。

 始めた頃はプロ野球選手として自分がやってきた投げ方を見せたり、大きく腕を振って投げることをやってみたり、遠投をさせたりと試行錯誤だった。子どもたちそれぞれの年齢や学年に合わせ噛み砕いてわかりやすく教える、メソッドや決まった言い回しなどもなく、子どもたちはとても楽しそうに授業を受けてくれていたけれど、終わるたびに「ああ言えばよかったなあ、こうすれば良かったなあ」という反省ばかりだった。

 それでも、着実に手ごたえはあった。

 神宮球場で試合が開催される際、広報部の担当者が正面玄関で来場者を迎える。度会さんがそこに立っていた時、以前、投げ方教室で訪問した小学校の生徒が観戦に来てくれていて「あ!度会先生だー!僕○○小学校で教えてもらったんです!」と声をかけてくれた。そういったことは一度や二度ではなく、何人もいたのだ。

手ごたえを実感、教えた子供たちが本拠地・神宮球場に

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