ロッテ河合オーナー代行が回顧する故重光氏の“預言” 「突然『野球もちゃんとやれ』と」
2005年に勝利の女神と称された「DHよしこ」、その正体は…
タイトな撮影スケジュールで「とにかく作った感じ。しっちゃかめっちゃかだった(笑)」と当時を振り返るが、結局チームは31年ぶりの日本一に。CMを流す機会が増え、人気を博した「DHよしこ」はファンから勝利の女神とも呼ばれた。
その翌年、開幕戦で始球式のマウンドに上がったのが、昨年他界したNPB史上唯一の400勝投手、金田正一氏だった。打席に立つのは「DHよしこ」。実はこの時、金田氏は「万が一、女の子の顔に当たって怪我をさせたらどうするんだ」と最後まで対戦を渋ったという。なんとか実施にこぎ着けると、レジェンドとDHよしこの対決に球場は大歓声。無事、始球式を終えて大満足の金田氏は「君は随分人気があるんだな」とDHよしこを演じる女優にサインボールを渡した。この女優こそ、翌2007年に米アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた菊地凛子だった。
2005年の正月、重光社長がなぜ「野球もちゃんとやれ」と言ったのか、その理由はいまだに分からないという。故重光氏はチームの日本一を予測していたのか。今となっては知る由もないが、その一言がなければチームの快進撃に対する会社のバックアップは後手に回り、「DHよしこ」が誕生することもなかっただろう。「カリスマ的な経営者は違うんだな、というのを感じました」と話す河合オーナー代行だが、入社した翌年に31年ぶり日本一に深く関わることになった自身もまた、人並み外れた引きの強さを持つと言えるだろう。
「優勝した時の社内の盛り上がり、社員のモチベーションの高まり、これはものすごいんですよ。入社してまもなく、企業としてプロ野球チームを持っていることが、社員にどれほど影響力を持つのか、社内のモチベーションを上げるツールになるのか感じることができました。同時に、ロッテ商品とチームを絡めることはいくらでもできるんじゃないか、今まで絡めなかったのは宝の持ち腐れだったんじゃないか、という思いも生まれ、2006年から本格的に球場で新商品のサンプリングを始めたんです。そんなこともあって、ロッテグループの広告塔でもあるチームとは、常に関わっていた気がします」