アップやキャッチボールにひと工夫でうまくなる 元プロが教える少年野球指導
元巨人、09年WBCスコアラーの三井康浩氏が指導者に伝えたい少年野球メソッド
こんにちは、三井です。私はプロ野球・巨人を退団した後、少年野球の指導などに当たっています。前回のFull-Count少年野球メソッド第5回では「指導者が直してしまいがちなこと」を説明しました。今回は普段の練習から、肩や肘を痛めない投げ方や、毎回行うアップの中で、走塁上で大切な打球判断がうまくなるポイントを紹介します。キャッチボールで最初の15分、やってみてほしいのですが、踏み出す足を軸足の前に出して、かかとを反対側(軸足)のつま先につけてみてください。
右足と左足を一直線にして並べてセットすることができたら、上半身を捻って投げる。この時、重要なのは腕の動かし方になります。腕は両方、同じような形で円を描く動かし方になります。目の前で回さないと肘は上がりません。後ろで回すと、きつくなり、肘が上がりません。そして、動画で説明した通り、回す時は力を抜いて“ポン”、とリラックスした状態で投げてほしいです。この回し方は肘が勝手に上がってくるので、しなりを使って投げられます。肩や肘の怪我の予防にもなります。
この体勢で一球、一球、丁寧に投げさせてください。これをやるとだんだん体がきつくなってきます。じっと、我慢してやっていると体幹が鍛えられます。これで軸が作られます。走るのと同じ位の効果があるんです。走ることが嫌いな子も、ボールを投げるのだったら、楽しく強化できるメリットもあります。
それができるようになったら、次の段階として、耳の後ろあたりをボールで“ポンポン”と二回くらい叩いてから投げみてください。そうすると、肘がみんなきれいに出てきます。こういう使い方をすると肘が壊れないと思います。
その他にも楽しみながらできる走塁の練習方法も伝授しました。打球判断というのは練習でやるのも難しいものです。ですが、私はアップの段階でメニューに入れてしまいます。
子供たちを並ばせて、私が前に出した指の本数の「和」や「差」が偶数か奇数かで走るパターンを変えたり、手を上に挙げたらフライ、まっすぐ前に出したらライナー、下に向けたらゴロといったように、子供たちが目で判断して、スタートを切るのか、バックするのか、ハーフウェイから戻るのかなどを体にしみ込ませます。ちょっとしたゲーム感覚でやらせてみるのも大事です。
楽しみながら、教える。目先を変えた練習を取り入れてみてはいかがでしょうか?