“フライボール革命の申し子”JFE東日本・今川の魅力 NPBスカウトが注目した個性
元DeNAの須田は厳しくも愛情のある“プロの心得”「どんな時でもファンを楽しませる選手に」
JFE東日本には、あの須田幸太投手もいる。同社から2010年ドラフト1位で横浜(現DeNA)に指名され入団、16年に62試合に登板するなど活躍し、一昨年限りで退団すると、古巣に復帰して昨年の都市対抗で橋戸賞(MVP)を獲得。今川については「投手目線でいうと、対戦していて楽しい打者ですね。どんどん振ってきますから。人気はすごい。フォロワー数なんて、アマチュア選手では考えられない」と評するが、一方でこうも指摘する。
「今のままでも、プロに行ける力はあると思いますが、勝負は入ってからですから。大学を経て社会人から行く以上、即戦力と見られる。結果が出なければ、3年でクビかもしれない。そう考えると、今からもっとバットを振らないと。プロに入るとまず、バットを振る量に驚かされますから」。さらに「いつもニコニコしているスタイルも、やるからには、調子を落としたときでも貫かないと。プロになったら尚更、ふさぎ込むようなところを見せてはいけない。どんな時でも、ファンを楽しませる選手になってほしい」と、厳しくも愛情を込めて“プロの心得”を説いた。
今川自身は「今日は僕にとって今年初めての試合で、ずっとこの日を楽しみにしていたので、それがちょっと空回りしました」と苦笑。高校3年時には、春の大会でダイビングキャッチの際に左手中指を骨折し、チームは夏に甲子園出場を果たしたものの、自身は控えで代打による安打を放つにとどまった苦い経験がある。それだけに、「純粋に野球が楽しい。試合に出られることは、決して当たり前のことではないので、1球1球、対ピッチャーをかみしめています」とトレードマークの笑顔が弾けた。一方で「もちろん、今年はプロに行かなきゃダメだと思ってます。“使命”というくらい、自分にプレッシャーをかけてます」とキッパリ。須田をはじめ周囲が、そして異例の数を誇るファンが、夢を追う今川を後押しする。