野球人生を左右する「野手転向」 西武川越らはブレークなるか…過去の成功例から探る

西武木村は外野レギュラーの座を奪取、今季も定位置キープを狙う

 最後に紹介するのは、現在西武で外野手として活躍する木村文紀外野手。100試合以上に出場した回数が3度ありながら、レギュラー獲得までに7年を要しているという点で、これまで取り上げてきた選手たちとは異なる。そんな木村が記録してきた数字は、以下の通り。

○木村文紀外野手(西武)
【2012年】
8試合 0勝0敗 14回 6奪三振 防御率4.50
【2013年】
11試合 14打数3安打 1本塁打1打点 0盗塁 1犠打 打率.214
【2014年】
100試合 284打数61安打 10本塁打27打点 16盗塁 21犠打 打率.215
【2015年】
49試合 82打数16安打 5本塁打12打点 1盗塁 4犠打 打率.195
【2016年】
28試合 30打数5安打 0本塁打2打点 1盗塁 3犠打 打率.167
【2017年】
105試合 184打数37安打 2本塁打13打点 7盗塁 4犠打 打率.201
【2018年】
75試合 104打数27安打 3本塁打12打点 7盗塁 5犠打 打率.260
【2019年】
130試合 391打数86安打 10本塁打38打点 16盗塁 15犠打 打率.220
【通算成績】
539試合 1089打数235安打 31本塁打105打点 48盗塁 53犠打 打率.216

 木村は06年の高校生ドラフト1巡目で西武に入団し、11年には1軍で21試合に登板。1勝(0敗)1ホールド、防御率2.88と活躍した。しかし、故障の影響で翌年終盤に野手へ転向。2年後の14年には100試合に出場して10本塁打を放つがレギュラーには定着できず。スーパーサブ的な起用が続いていたが、プロ13年目の19年についに定位置を獲得。5年ぶりとなる2桁本塁打を記録し、リーグ連覇にも貢献している。

 このように野手転向の成功例と一口に言っても、その経歴やブレークするまでの年数は様々だ。その中でも、野手転向翌年にレギュラーに定着した柴田氏と関根氏、転向翌年の終盤には定位置を確保していた石井氏は早々にコンバートを成功させたケースだ。

 また、投手と野手を兼務していた時期が比較的長く、明確に野手転向した時期を定めるのが難しいことから今回のリストには加えなかったが、NPB史上初の2000安打を達成した「打撃の神様」こと川上哲治氏も、打者転向を成功させた大打者の1人だ。柴田氏、石井氏、福浦氏を含め、通算2000本安打を達成した選手が4名も輩出されていることからも、プロに入ってからのコンバートが一概に回り道とは言えないことがわかる。

 一方で、投手として7年間という長い期間にわたってプレーした後に野手転向し、プロ12年目にしてレギュラーを獲得した雄平のような存在もいる。野手転向から5年間は苦しい戦いを強いられながら、プロ10年目に一躍大ブレークを果たした嶋氏の例も含めて、早い段階で結果が出なくとも、その後に活躍を見せる可能性が大いにあることも確かだろう。

 白村、川越、佐野といった今後の活躍を誓うパ・リーグの野手転向組は、過去に大きな成功を収めた選手たちに続く活躍を見せることができるだろうか。高い野球センスを見込まれて新たな役割に挑んでいる選手たちが、先人たちのようなブレークを果たしてくれることに期待したいところだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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