脚力自慢は一体誰? パ各球団の最多盗塁者から見る“韋駄天”の歴史
オリックスの野中やソフトバンクの周東は出番が少なくても盗塁数は多い
【オリックス】
2010年:12盗塁
坂口智隆(138試合、打率.308)
2011年:14盗塁
後藤光尊氏(130試合、打率.312)
2012年:12盗塁
野中信吾氏(74試合、打率.217)
2013年:33盗塁
糸井嘉男(141試合、打率.300)
2014年:31盗塁
糸井嘉男(140試合、打率.331)
2015年:17盗塁
E・ヘルマン氏(73試合、打率.267)
2016年:53盗塁(盗塁王)
糸井嘉男(143試合、打率.306)
2017年:8盗塁
西野真弘(100試合、打率.234)
2018年:20盗塁
安達了一(140試合、打率.219)
2019年:30盗塁
福田周平(135試合、打率.250)
上記のランキングの中では、2016年に35歳にして53盗塁を決め、史上最年長タイで盗塁王を獲得した糸井嘉男の活躍が目を引く。上記のランキングで盗塁数が多かった順に並べると、1番目から3番目まですべてが糸井になるという事実が、あらためてその超人ぶりを示しているだろう。
また、2012年の野中信吾氏は同年74試合に出場したものの、打数はわずか120と、スタメンとしての出場機会はそこまで多いとはいえなかった。出場機会が限られる中で、チーム最多の盗塁を記録した点は特筆すべき点だろう。それ以外の年は1桁の盗塁が1度、10盗塁台が4度と、チーム全体の盗塁数が伸び悩むシーズンも多い。それだけに、2019年に30盗塁を記録した福田周平の今後の飛躍には期待したい。
【ソフトバンク】
2010年:59盗塁(盗塁王)
本多雄一氏(144試合、打率.296)
2011年:60盗塁(盗塁王)
本多雄一氏(144試合、打率.305)
2012年:34盗塁
本多雄一氏(123試合、打率.246)
2013年:22盗塁
本多雄一氏(120試合、打率.283)
2014年:33盗塁
柳田悠岐(144試合、打率.317)
2015年:32盗塁
柳田悠岐(138試合、打率.363)
2016年:23盗塁
本多雄一氏(110試合、打率.280)
柳田悠岐(120試合、打率.306)
2017年:15盗塁
今宮健太(141試合、打率.264)
2018年:21盗塁
柳田悠岐(130試合、打率.352)
2019年:25盗塁
周東佑京(102試合、打率.196)
本多雄一氏は直近10年間のパ・リーグでは最多となるシーズン60盗塁を2011年に記録し、2010年からの2年間で119盗塁を稼いだ。4年連続を含む5度のチーム最多盗塁と、切り込み隊長に相応しい機動力を発揮してチームを支えた。2014年からは柳田悠岐が3年連続を含め、5年間で4度のチーム最多盗塁を記録。2015年に達成したトリプルスリーの快挙にもその脚力が不可欠だった。
2019年にチーム最多の盗塁数を記録した周東佑京は「侍ジャパン」でも活躍して知名度を上げた。打数は102と、先述したオリックス野中氏と同様にスタメンでの出場機会は多くないが、相手に警戒されやすい代走での出場であっても着実に仕事をする圧巻の俊足はチームにとっても大きな武器となった。
最後に、直近10年間で5回以上チーム最多盗塁を記録した選手たちを紹介したい。
荻野貴司:7回(2010、2013~2017、2019)
西川遥輝:5回(2014、2016~2019)
聖澤諒氏:5回(2010~2013、2015)
本多雄一氏:5回(2010~2013、2016)
糸井嘉男:5回(日本ハムで2011、2012、オリックスで2013、2014、2016)
西川、糸井、聖澤氏、本多氏と盗塁王に輝いた経験のある選手たちがそれぞれ5度のチーム最多盗塁を記録しているが、盗塁王を獲得したことはない荻野貴が7回と、今回取り上げた選手の中では最多の回数を記録した。今回のランキングはその性質上、チーム内に俊足の選手が多いか否かにも左右されるものではある。だが、上述の5選手はいずれも、長期間にわたって脚力を維持し続けた選手であると言ってよいだろう。
俊足の選手が一塁に出ると、球場全体が盗塁の可能性を念頭に置いた状態で試合が進みだす。盗塁を巡る走者とバッテリーの駆け引きは、野球における読み合いの中でもとりわけ見応えのあるものの一つだ。今後もパ・リーグの各球団において、持ち前の俊足で長年にわたってチームに貢献し続ける選手が現れることに期待したいところだ。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)