コロナ禍でも異国に留まる日本人 フィリーズ本間氏が語るドミニカの現状と思い

「もう、疑わしきものはとにかくなんでも消毒しています」

 用具係らドミニカ人スタッフが不在のため、本間氏の仕事は現在、多岐に渡っている。朝は5時に起床し、5時半には事務所に出勤する生活。ボールなどの練習用具や水の準備も担当する。選手たちの体温も毎日測る。消毒のための塩素剤の用意も欠かさない。

 食堂のスタッフや警備員、清掃員ら、外部からの通勤者には手だけでなく、全身のアルコール消毒とマスク、手袋の着用を義務化。水のタンクや食料の入った段ボールなど、外部から持ち込まれるものはすべて本間氏がアルコールジェルで拭いて除菌する徹底ぶりだ。朝6時までは外出禁止令があるため、食堂のスタッフの出勤時間にも影響が出ており、朝食の時間も変更された。

「喉の痛みを訴える選手が出た時は部屋で隔離をし、食事はドアの前に置いて渡す形を取りました。回収した食器はアルコールで消毒。もう、疑わしきものはとにかくなんでも消毒しています」

 アカデミーでは通常、練習後に午後3時から英語や数学、国語、歴史、経済などの授業も行われているが、こうした授業も現在は中止されている。寮生はドミニカ人は2週間に1度、自宅に帰ることが許されており、ベネズエラ人ら海外組は大型バスでショッピングモールに連れて行ってもらえるが、都市をまたぐ移動が禁じられているため、こうした息抜きの時間も確保できていない状態だ。

「通勤してもらっているスタッフたちは歌いながら陽気に仕事をしてくれていますが、やはり『この状況は辛い』と言っています。でも、自分たちの健康は自分たちで守るしかないですからね。選手たちの中には『外に出たい』『ベネズエラに帰りたい』と言っている者もいますが、ベネズエラに帰ったところで今は(経済が破綻していて)食事も満足に食べられない。でも、ここにいたら食事もある訳ですからね。ここにいることは義務ではありませんが、ここは野球で大成したいと思う選手たちが来るところ。彼らは多額の契約金ももらっている訳ですし、『この環境がありがたいと思えないなら、辞めてもいいんだよ。他に来たい選手はたくさんいるんだから』と言っています」

「この今の時期も、こうして練習ができることをチャンスだと思えるかどうか」

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