「選手、チームの変化こそ我々の冥利の一つや」 元オリ監督が救われた野村克也氏の言葉
背中を押された王監督の言葉「人は必ず変化する。ならば良い変化を。変化、成長には行動が不可欠」
オリックスは2014年に2位になって以降、Bクラスが続いている。リーグ優勝は1996年から遠ざかっているが、若手投手陣の成長、大物メジャーリーガーの加入など、2020年シーズンはとても期待値が高い。6年前に指揮していた森脇浩司氏の考えにはホークスで仕えた王貞治監督から学んだこと、南海の大先輩である野村克也氏の戦法があった。
ソフトバンクと最後まで優勝を争った2014年。主砲の李大浩、バルディリスが去り、目立った補強もないチームに当時、評論家からの予想は最下位が大半だった。それでも、“弱者が強者に勝つ”チームを作り上げた。選手もチームも急速な成長を遂げている中、それに対して貢献するには常に自身の向上が責務と考えていた森脇氏。王監督からの言葉もチーム作りの礎となっていた。
「人は必ず変化する。ならば良い変化を。変化、成長には行動が不可欠。その行動には勇気が必要だ。思いの強さが勇気を生む。人生はチャレンジの連続だ。歩みを止めないこと」
王監督からの言葉は森脇氏の背中を押した。当時の合言葉は「良い習慣は才能を超える」「常に出来る理由を考えよう」。これは前球団でも折に触れ使った言葉だった。
描くものはただ一つ、人気薄の逃げ馬。他からの評価は低くとも仲間を信じ、知恵を絞り皆で常に先手を打てる準備をする。一日一日を大切に、一瞬一瞬に全てを賭けてその寿命を延ばしていく。これは日本シリーズで勝つことから逆算したホークスでのマネジメントとは真逆のものだった。