観客入場解禁の台湾プロ野球 NPBの“お手本”となるチケット販売方法や現地の様子は?
盛り上がりは観客の上限が1000人とは思えないものに
席の間隔が空いており、周囲のファンに気を使う必要がないからか、序盤から立ち上がって振り付けをしながら応援するファンも多数みられた。特に富邦のチャンスになると、ファンは総立ちで応援団、チアガールと共に選手に大きな声援を送っていた。「初戦」ということもあり、熱狂的なファンが特に多かったことを差し引いても、その盛り上がりは1000人とは思えず、あらためてファンの喜びの大きさを感じた。
観客を入れての試合開催について、現場の選手、コーチたちはどのように感じたのだろうか。
元メジャーリーガーの富邦・胡金龍は「多くの友人が海外でプレーしているが、大部分のマイナーリーガーは今もまだ自主トレを行っている段階だ。今、プレーできる場があることに感謝しなければならない」と神妙な面持ち。7回2失点と好投しゲームMVPに輝いた若き左腕・陳仕朋は「ファンのいない静かな球場だと、投球に集中しやすいというメリットもある。でも、やはりスタンドにファンがいるなかでのプレーはモチベーションが違う。いい投球をみせたい、勝ちたいという気持ちがぐっと湧いてくる」とファンの存在の大きさを語った。
また、昨シーズンから富邦の1軍バッテリーコーチに就任し、自身の豊かな経験を伝えている古久保健二コーチ(元楽天コーチ)は台湾政府のコロナ対策、そして国民の協力姿勢を称賛した上で「世界で初めて野球ができることの幸せを感じています。ファンの声援は心強いです。今まで通りの賑やかなスタンドで、選手も力が入ると思います」と喜んだ。
そして、プロ野球開幕を心待ちにする日本の野球ファンに向け「皆さん、大変苦しい思いをしていると思いますが、一人ひとりが感染防止を心がけていけば、いずれ収束すると思います。皆さんが力を合わせることで、一日も早く、開幕の日が来ることを心より願っています」と語ってくれた。
健康面、そして精神面においても不安な生活が続くなか、今こそ野球を見て活力をもらいたいというファンも多いだろう。当然、慎重な判断は求められるが、徐々に収束に向かい、日本においても、ファンが野球に熱狂するあの日々ができるだけ早く戻ってくることを願いたい。
(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)