清原和博氏は繊細で素直な男だった 元巨人スコアラーが見たベンチ裏の番長
阪神藤川への「チ○ポコついとんのか!」発言も理解「パフォーマンス的に意気込みを示さないと巨人の4番は務まらなかった」
05年4月21日の阪神戦(東京ドーム)では、8点ビハインドの7回2死満塁で藤川球児投手と対戦し、フルカウントからフォークを空振り三振。すると試合後、「カウント3-2からフォーク? ケツの穴小さいな。チ○ポコついとんのか!」と言い放ち、物議を醸した。これもまた「プロ野球なんで、当然変化球も投げてくるんですが、清原君の場合は『まっすぐで勝負してこい!』というところがありましたからね。原(辰徳)監督の現役時代もそうでしたが、ある程度パフォーマンス的に意気込みを示さないと、巨人の4番は務まらなかったと思います。他球団の4番とは違う、物凄いプレッシャーがありましたから」と解釈している。
また、清原氏については「内角高めが苦手」というイメージが流布されていたが、三井氏は「実は誰であっても、インハイはなかなか打てるものではないんです。清原君はああいうキャラだから目立っただけで、松井君だってインハイに決められたら打てなかった。それに清原君の場合は、インコースに来ても避けなかったので、“アンチ清原”のような投手が出てきて余計そういうことを言うようになったんですよね」と解説する。確かに、清原氏の通算196死球は歴代1位。その背景には「インコースはボール気味でも打ちにいく。攻めるなら攻めて来い、逃げていられるかというような」(三井氏)姿勢があった。
05年限りで巨人から戦力外通告された清原氏は、東京ドームの分析室で仕事をしていた三井氏を訪ねている。
「わざわざ来てくれて『辞めることになりました』と。ここまでやってくれる間柄になれたのかと、感慨深かったですね。そして、清原君がいなくなるということが寂しかった」
現役時代も歴代5位の525本塁打を放つ一方、タイトルには縁がなく“無冠の帝王”で終わった。それでも、巨人の4番の重圧に正面から立ち向かった男の記憶は色褪せない。