最高のフォーシームの使い手は誰か? 謎の解説者お股ニキが独断で厳選
お股ニキ氏が「パーフェクト」と絶賛する4シームの遣い手は?
【2位】ゲリット・コール(ヤンキース)右投
回転効率97.1% 平均球速97.1マイル(約156.3キロ) Spin Axis 1:08 2530回転
空振り率16.7% 使用割合51.5% 被打率.166 ピッチバリュー/100:1.9
高速・高回転・高回転効率・高いリリースポイントと、すべて揃ったパーフェクトと言えるのがコールの4シーム。ヘイダーと同様にシュートしながら浮き上がるようなボールだが、より高いリリースポイントから投げ込まれている。アストロズが多くの投手に施している“改造”の賜物で、シュート回転を少し抑えつつ、その中で最もボールが浮き上がるように回転効率を高めている。対になるスライダー、ナックルカーブとの対比も鮮明となり、先発では最強と言える4シームだった。
2019年シーズンはリーグ2位となる20勝(5敗)、リーグトップの防御率2.50、同じくトップの326三振を奪い、最後に負けた5月22日ホワイトソックス戦以降はポストシーズンも含めて18勝無敗、防御率1.66を記録。8月7日のロッキーズ戦からは11試合連続2桁奪三振も成し遂げた。規定投球回を達成した先発投手として、あのランディ・ジョンソンを上回り、史上最高の奪三振率(13.8)を記録する歴史的なシーズンを過ごした。
オフにアストロズからFAとなり、投手史上最高額の9年総額3億2400万ドル(約347億円)でヤンキースと契約した。年平均3600万ドル(約38億6000万円)も同じく史上最高額となる。目を見張る進化と破格の契約の背景には、この4シームの改善があった。
【3位】タイラー・グラスノー(レイズ)右投
回転効率71.9% 平均球速96.9マイル(約155.9キロ) Spin Axis 0:05 2279回転
空振り率9.6% 使用割合67.2% 被打率.195 ピッチバリュー/100:2.3
2018年にレイズがエースだったクリス・アーチャーを放出してパイレーツから獲得したのが、昨季ブレークした右腕タイラー・グラスノーだった。パイレーツ時代よりも腕の角度を上げて、203cmの長身から投げ下ろす4シームは100マイル(約160キロ)に達する。
ボールの回転角度は180度に近く、これまで紹介したシュートライズするヘイダーやコールとは異なり、カットボールや真っスラタイプの軌道を持つ。160キロ近い高速で真っ直ぐ迫るボールを、打者は捉えるのが難しかったことだろう。体感速度も極めて速いと思われる。
この4シームとカーブのみ、ほぼ2ピッチで防御率1点台と圧倒し、ポテンシャルの高さを見せた。この先、先発として2ピッチのみでは厳しいため、スプリングトレーニングでは第3の球種としてスプリットのような中間球を覚える取り組みを見せていた。4シームの割合を減らして投球にメリハリがつき、故障が少なくなったコールのような成績を残すことも十分に可能な逸材だ。