“究極の魔球”スラッターの使い手と言えば… 謎の解説者・お股ニキが選ぶベスト3+1
2年連続CY賞・デグロムが誇る圧倒的なピッチングの源泉
【2位】ジェイコブ・デグロム(メッツ)右投
回転効率31.3% 平均球速92.5マイル(約148.9キロ) Spin Axis 11:26 2454回転
空振り率18.7% 投球割合32.0% 被打率.186 ピッチバリュー/100:2.1
2年連続サイ・ヤング賞に輝いた“人外”の異名を執るデグロム。そのスライダーは反則とも言える程の魔球である。時速93マイル(約150キロ)に近いカットボールのようなスピードでわずかに曲がり落ちるため、ストレートだと思って手を出した打者のバットを紙一重でかすめて空振りを奪う。リリースポイントや軌道、投げ方が4シームに近いのもポイントだ。
投手から見てボールの右斜め下を切るように投げるこのスライダーは、ホームベースの左下を狙えばややスライドしながら曲がり落ち、ベースの右端を狙えばジャイロシンカーに近い変化をして、ゾーンの中に入っていかない。右打者の外角はもちろん、左打者のインローにはバックフットで落とし、アウトコースにはバックドアで多くの見逃しをリスクなく奪う、デグロムの圧倒的な投球の源泉となっている。
【3位】フランキー・モンタス(アスレチックス)
回転効率28.2% 平均球速87.1マイル(約140.2キロ) Spin Axis 10:37 2509回転
空振り率14.8% 投球割合25.0% 被打率.167 ピッチバリュー/100:2.8
昨シーズンは6月に薬物規定違反は発覚し、80試合の出場停止処分が科されるまで9勝2敗、防御率2.70と好投していたモンタス。時速100マイル(約160.9キロ)の速球に加え、スプリットを覚えたことで一気に投球の幅が広がったが、元から良かったのが、このスラット型スライダーだ。
ジャイロボールとも、縦スラとも、カットボールとも言えるボールで、平均球速87マイル(約140キロ)と高速のまま手元でカクッと落下。打者のバットは空を斬り、バットに当たったとしてもゴロになる。モンタスやバーランダーのスライダーこそ、私が個人的に最も好むタイプのスラッターだ。
100マイルの速球にスラットと新しく覚えたスプリットを加えた「スラット・スプリット型投球」を手に入れたのだから、圧倒的な活躍も頷けるというものだ。怪我なく1年投げきれば、将来的にはサイ・ヤング賞も狙える実力の持ち主だ。