“究極の魔球”スラッターの使い手と言えば… 謎の解説者・お股ニキが選ぶベスト3+1

メッツのジェイコブ・デグロム、カブスのダルビッシュ有、アストロズのジャスティン・バーランダー(左から)【写真:Getty Images】
メッツのジェイコブ・デグロム、カブスのダルビッシュ有、アストロズのジャスティン・バーランダー(左から)【写真:Getty Images】

野球の新たな視点を提案する“プロウト(プロの素人)”お股ニキが選ぶスラッター4傑

【お股ニキが選ぶ3+1・MLB編 第2回 スラッター】

 野球界には“魔球”と呼ばれるボールがある。日本では伊藤智仁の高速スライダーしかり、上原浩治のスプリットしかり。メジャーに目を向ければ、マリアーノ・リベラのカットボール、ティム・ウェイクフィールドのナックルボールが有名だ。ピッチャーがマウンド上で魔球を操り、打者を手玉に取る光景を目にし、胸のすく思いをする人も多いだろう。

 現役の中にも、他を圧倒する“魔球”の持ち主はいる。では、誰の何を見たらいいのか……。そんなアナタの声に応えるのが、野球の新たな視点を提案する謎の解説者・お股ニキ氏だ。新連載「お股ニキが選ぶ3+1・MLB編」の中で、各球種における「球界トップ3」を独断と偏見でピックアップ。トップ3は外れたが要チェックの「プラス1」を加えた4投手を解説とともにご紹介していく。

 第2回は、打者の手元で急激な変化を見せる「スラット型スライダー」だ。スラットとは、縦のカットボールとも縦の高速スライダーとも言えるボールのこと。軌道や速度は4シームに近いが、高速で真逆に鋭く曲がり落ちるため、打者は対応しきれず。空振りや凡打に倒れてしまい、なおかつ見逃してもストライクとなりやすい。近年のメジャーでカギを握る球とも言える「スラット型スライダー」。お股ニキ氏が選んだ4投手とは。
(データソースはBaseball Savant、FanGraphs、BrooksBaseballによる。主なデータ項目の説明は最後に付記)

【1位】ジャスティン・バーランダー(アストロズ)右投
回転効率28.9% 平均球速86.9マイル(約139.9キロ) Spin Axis 11:14 2611回転 
空振り率24.0% 投球割合28.25% 被打率.119 ピッチバリュー/100:3.4

 2011年以来8年ぶり2度目となるサイ・ヤング賞に輝いたアストロズのエース、バーランダー。21勝、300奪三振、防御率2.58を記録した投球を支えていたのが、スラット型のスライダーだ。スライダーではメジャー最多の127奪三振、被打率.119と圧倒的な数字を残した。

 シュートしながら浮き上がる4シームと対になるスピードと軌道を持ち、ジャイロ回転でカクッと沈む88マイル(約141.6キロ)ほどのこの球を、バーランダーはさらに磨きをかけていた印象だ。高いリリースポイントから投げ下ろすこのスライダーは、変化量を見ると重力による自然落下より約16センチも小さい。だが、上から投げ下ろし、かつジャイロ回転がかかっているため、曲がり始めてから鋭く大きく変化し、落ちるように見える。これこそが「スラット」そのものであり、分かっていても打てないクラスの魔球だ。

 バーランダーのピッチングはシュートライズする4シームと対になるスラット、パワーカーブ、そこに時折チェンジアップを織り交ぜるという王道そのものでもある。

2年連続CY賞・デグロムが誇る圧倒的なピッチングの源泉

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