元ロッテ成瀬がスピード全盛の時代に伝えたい思い 故郷で見つけた新たな目標とは?

華やかなNPBの世界も、わずかな甘さが命取りに

 NPBの世界はすこぶる華やかだったが、その分心身ともに過酷を極める日々でもあった。わずかな甘さが命取りになる。「(若手選手たちは)厳しいことやきついことを避けることも多い。何が自分に足りないか考えながらやってほしい」と語気を強める。もちろん、手助けは惜しまない。「口で教えつつも、分からなかったら見本を見せてあげられる。一緒にやった方がサポートしやすい面もありますから。ある意味、選手兼任の特権ですよね」。最も身近にある生きた教科書。寺内崇幸監督も「試合で先発もしてもらうし、中に入ってもらうこともある。いい見本になると思う」と期待する。

 20代前後の若手たちは、まだまだ荒削り。そんな彼らに成瀬兼任コーチが伝えていきたいことは、いまの球界の潮流にはそぐわないのかもしれない。パ・リーグを中心に、1軍で活躍する投手たちは当たり前のように150キロ超の速球を投げる。球が速くなければ通用しない……。そんな向きさえあるし、栃木の投手たちがスピードを追い求めるのも分かる。ただ、130キロそこそこでも白星を重ねてきた自身には、それが唯一無二の正解にはどうも思えない。

「いくら球が速くても、四球を連発したり、変化球でストライクが取れなかったりしたら意味がない。歳をとってスピードが出なくなったらどうするのか。力ばかりじゃなくて、球の出し入れや配球での伏線、打者との駆け引き……。いろんな引き出しを持ってくれたらいいかなと思う」

故郷で見つけた新たな目標「ここから1人でも多く、NPBに送り出したい」

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