元ロッテ成瀬がスピード全盛の時代に伝えたい思い 故郷で見つけた新たな目標とは?
故郷で見つけた新たな目標「ここから1人でも多く、NPBに送り出したい」
投球だけでなくフィールディングや牽制など小技への意識も口すっぱく言う。NPB球団に入るためだけでなく、その最高峰の世界で長く生き残るための術を身につけてほしいと願う。
いわゆる「技巧派」に華はないのかもしれない。ただ、投球術という奥深さを手にした投手が球史を彩ってきたのも、また確か。幕が開けたばかりの今季の球界だってそう。ヤクルトでは石川雅規投手が40歳で開幕投手を担い、35歳の中日・吉見一起投手は開幕ローテに入った。豪速球を持たないベテランたちが存在感を放つ。「スピードや力の“見た目”で盛り上がることも悪くないですが、投球術っていうのがなくなっていくのは寂しい」。
成瀬兼任コーチは、18.44メートルの間で繰り広げられる攻防に、「野球の妙」を見出す。
自身もまだ34歳。返り咲きを期待する声もあるが「選手としてもう一回NPBに戻ることを考えたら、厳しい戦いだと思う」と現実を見る。指導者として、新たな目標もできた。「ここから1人でも多く、NPBに送り出したい。自分は何歳までできるか分からないですが、やれるんだったらやりたい」。第2の野球人生に、情熱を注いでいく。
(小西亮 / Ryo Konishi)