5連敗中のチームを救えるか… オリックス山本由伸の凄さを示す指標と特徴
苦手な球団や成績の落ちる季節がないのも特徴
○苦手な球団がない
先発投手にとって苦手球団を作らないということは、相性によってローテを組み換えなくて良く、少なからず意味を持つものだ。そんな中で山本が2018年と2019年の2シーズンでパ・リーグ球団に残した結果は以下のようになる。
リリーフだった2018年は防御率9.95と楽天を極端に苦手とし、ロッテに対しても防御率4.09とやや苦戦していた。だが、2019年は両チームとの防御率は1点台と大きく改善している。また、2019年にはリーグ最高の得点力を誇る西武を防御率0.37と完璧に抑え込んでいる。5球団で最も防御率が悪かった日本ハムでも2.37という高水準で、どの球団に対しても安定した成績を残しているのも特徴的だ。
○時期による波の少なさ
対戦相手別の成績と同様に、月別でも安定した成績を残している。2018年にはセットアッパーとして5月からフル回転を続けた影響もあってか、8月以降に防御率が大きく悪化した。だが、2019年には離脱期間こそあったが、すべての月で防御率2点台以下という安定感を発揮。前年に苦しんだ8月以降も好成績で乗り切った。
ちなみに、試合時間別の成績に目を向けて見ると、2019年にはデーゲームの防御率が6試合で1.94だったのに対し、ナイトゲームの防御率は14試合で1.95。こちらの面でも双方の数字にほとんど差がなく、シチュエーションを問わない安定性の高さを裏付けるものになっている。
以上のように、各球種の質、制球力、相手や時期を問わない対応力といった、投手として優れた要素を数多く備えている山本。投球の安定に寄与する点における質の高さが、防御率1点台での最優秀防御率という成績として結実したとも言えるだろう。さらに、まだ21歳という若さにしてこの完成度という点が底知れないポテンシャルの高さを示してもいる。
2020年の初登板となった6月21日の楽天戦では、8回を投げて3安打、10奪三振で無失点という素晴らしい投球を展開。開幕2試合で11得点を奪っていた楽天打線を完璧に封じ込め、チームに待望の今季初勝利をもたらしている。27日にはロッテ戦で今季2度目のマウンドに上がり、チームの連敗ストップを託される。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)