DeNA、今永、浜口ら大卒投手王国で巨人猛追だ! 鍵を握るコンディション管理
大卒投手間で好循環も東、上茶谷ら故障者が出ている
さらにプロ入り後は、チームのエース格である今永に師事した。坂本のプロ初登板の前、今永は「特にアドバイスをしたことはないが、いつも質問をよくされる。登板の前に何を食べるかとか聞かれたので、自分のルーティンを話した」とルーキーに助言した。坂本だけでなく、エース格である今永は後輩へのアドバイスを惜しまない。26日の阪神戦で今季初勝利を挙げた今永は「開幕戦で勝てなかった後、この1週間は他の先発のみんながいいピッチングをして勝っていた。浜口やルーキーもいい投球をして、自分も頑張らないといけないと思った」と、投手陣の間で競争意識も高まっている。
5年連続で大卒のドラフト上位投手が活躍と、前途洋々に見えるベイスターズ投手陣だが、不安もある。選手のコンディション面の問題だ。今永はプロ2年目に初の2桁となる11勝をマークしたが、翌年のシーズン前に左肩違和感を発症し、18年は復帰後も中継ぎに配置転換されるなど、4勝11敗と大きく負け越した。チームの新人として20年ぶりの2桁勝利を記録した浜口も、2年目のキャンプで発症した左肩の違和感が長引き、この年はわずか4勝に終わっている。
18年の新人王・東も、翌年に左肘の炎症で4勝止まり。今年2月には左肘の内側側副靭帯損傷が判明してトミー・ジョン手術を行い、今季中の復帰は絶望的の状況だ。昨年7勝をマークし、待望の右のエース候補として期待された上茶谷も、今季は右肘の違和感で開幕1軍を逃している。
1軍でブレークして以降、その後もコンスタントに成績を残しているのはリリーフの山崎康ぐらいで、先発で好成績を収めた投手は軒並み翌年に故障しており、2年連続で2桁勝利を記録している投手はいない。今季、開幕早々に偉業を達成した坂本も、痛めた足首の状態が思わしくなく、指揮官は「2軍でしっかり治療してもらうことにした」と、早々の戦線離脱となった。
26日の試合で完封目前の今永を「無理をさせる必要がない」と降板させるなど、ラミレス監督の采配は選手に無理を強いるものではない。特殊なシーズンとなった今季はリリーフ投手をこまめに抹消して休ませるなど、体調面への配慮が感じられる。チームもアスレティックトレーナーが栄養面から選手に徹底させるなど、コンディション面では細心の注意も払っている。
今永と浜口は、現在は故障から復活して先発ローテの中心として活躍している。能力の高い選手の故障をいかに防止し、ベストなメンバーを維持することができるか。大卒ドラフト上位指名投手による真の「投手王国」の確立は、選手の体調管理がカギを握ることになりそうだ。
(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)