来春閉校の“最後の世代”が挑む夏 北海道・江陵が目指す頂点と人としての在り方

谷本監督の教え「ほかの学校の3年生も最後に変わりないよ」

 昨秋は十勝支部予選で白樺学園に5―7で逆転負け。その後、白樺学園は全道大会で初優勝して明治神宮大会に出場し、今春のセンバツ出場を決めた。ライバルとの再戦を熱望する永島は「1年夏からずっと負けているので(4連敗中)、最後に必ずやっつけたい」と力を込めた。

 谷本監督は昨オフから「夢を叶える法則はワクワクすること」と言い続けてきた。だから、来春の閉校を悲壮感に結びつけるつもりはない。「周りの人たちは最後の夏だったのにかわいそうと言うかもしれないけど、ほかの学校の3年生も最後に変わりないよ」と選手に説いている。

「コロナのことがあってから、1日1日すごいスピードで状況が変わっていて、何があってもおかしくない。(代替の)道大会でチャンピオンになれば、来年3月に甲子園でやれるチャンスもあるかもしれない。プラス思考をすれば、いろんな取り組みができる。お前たちに引退はないよ」と谷本監督は選手に優しく語りかけた。

 コロナに翻弄されたラストイヤーを日々前向きに取り組んできた選手たちは、きっと夏の大会が終わっても大好きな野球にとことんまで打ち込むだろう。学校の歴史に幕を下ろす最後の夏に甲子園大会が開催されたなかった不運を、いつか笑って振り返るために。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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