史上初3球団での最多勝に期待 楽天・涌井秀章が歩んできた“エース道”

07、09、15年に3度の最多勝をマーク、09年には沢村賞を受賞している

 涌井は西武時代の2007年と2009年、ロッテ時代の2015年と3度にわたってパ・リーグ最多勝を受賞した経験の持ち主だ。特に2009年はキャリアハイと形容できるシーズンで、16勝6敗、防御率2.30という数字に加え、奪三振も199と200の大台まであと一歩に迫る自己最多の数字を記録。11度の完投、4度の完封と支配的な投球を披露した。その活躍が認められ、見事に沢村賞の栄冠にも輝いている。

 プロ2年目の2006年から5年連続で2桁勝利を記録していたが、2011年からの4年間は故障やリリーフ転向といった要素も重なり、いずれも1桁勝利に終わる苦しい時期を過ごしていた。しかし、29歳で迎えた2015年に鮮やかな復活を果たして15勝をマークし、3度目の最多勝を獲得したという点も価値のあるものだ。ロッテの投手としての最多勝獲得は、1998年の黒木知宏氏以来、実に17年ぶりとなる快挙となった。

 涌井が記録した3度の最多勝という記録は、ヴィクトル・スタルヒン氏の6度(元巨人ほか)、斎藤雅樹氏(元巨人)の5度、稲尾和久氏(元西鉄)、野茂英雄氏(元近鉄)の4度に次ぐ、歴代5位タイの数字となっている。もしも涌井が2020年以降に楽天で自身4度目の最多勝に輝けば、稲尾氏と野茂氏という偉人に肩を並べると共に、史上初となる3球団での最多勝という快挙にもなる。涌井にとって、新天地でのプレーは球史に名を残す偉業への挑戦でもあるのだ。

ロッテ時代の14年に全球団勝利を達成した

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