キャリア最高のペースで打ちまくる鷹・柳田 工藤監督でさえ感じる“凄さ”とは?
工藤監督でさえも「あれをやられちゃうと、もうあとは四球しかない」
この6試合、楽天バッテリーの攻めは一貫していた。徹底的にインコースを攻め続けた。例えば2戦目の涌井は第1打席、初球から4球連続でインコースに突っ込み、4戦目の則本昂も内角に150キロ超の真っ直ぐ、そして140キロ台のカットボールを投げ続けた。速い球を内、しかもえぐるように投げ、所々で遅い球や落ちる変化球を外に散らした。
あれだけインコースを攻め続けられれば、打撃の形が狂ってもおかしくはないもの。ところが、柳田はモノともせず。これに驚いていたのが、自軍の監督である工藤監督だった。「あまりストライクゾーンがズレていないんですよね。(内角を)意識させられても、ズレていないというのがこの結果に繋がっているんじゃないのかなと思います」と分析し「あれをやられちゃうと、もうあとは四球しかないのかなと僕は思いますね」と評した。
こうなってくると相手投手はなかなか手の施しようがない。現役時代に通算224勝をマークした大投手の工藤監督でさえ「ピッチャーからすればイヤです。当然、インサイドが甘くなったらライトにも打たれる。どうしてもバッテリーは落とすか、外かになるんですけど、その球を逆方向に打たれる。そうすると、正直投げるところが無くなっちゃうでしょうね」と“お手上げ”だと言うほどだ。
「しっかりいいスイングをすること、それ以外は考えていないです。集中していいコンタクトをするだけだと思っています」と、柳田自身の思考は至ってシンプルだ。21試合で8本塁打は自身最高の量産ペース。規格外の“超人ギータ”が、規格外の領域にいる。しばらくはこの男、止められそうに、止まりそうにない。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)