「野球選手の性が出た」 甲子園交流試合を戦った4人の監督たちの“特別な夏”
花咲徳栄の岩井監督は試合前に選手を鼓舞「歴史の1ぺージを」
花咲徳栄は7月下旬に学校関係者の新型コロナウイルスの感染が判明し、学校は休校。野球部も練習休止になった。不安な気持ちを選手たちは抱いていたが、グラウンドに立てば、もう目の前のボールを追いかけるだけだ。選手たちは初回から躍動。プロ注目右腕の大分商の川瀬堅斗投手から3点を奪い、試合を優位に進めた。1点を中井大我捕手の押し出し死球で奪い、なお1死満塁。花咲徳栄の6番・渡壁幸祐外野手が右前へ2点打。鮮やかな一打が交流試合の“初安打”となり、記録された。
2017年の優勝監督でもある岩井隆監督は「交流試合の開幕戦は、歴史的にも初めてのことですから、やらせてもらうことだけでも光栄です。歴史の中の1ページで、花咲徳栄の1ページでもあります。初出塁、初安打、初打点、初犠打、初失策を含めてすべてが初になる。一人一人が初を目指せば、歴史に名を残せるぞ、と送り出しました」と試合前に選手たちを鼓舞したことを明かした。
その言葉に導かれるように、特別な甲子園に様々な足跡を選手たちは刻み、笑顔で交流試合を終えた。
敗れた大分商の渡辺正雄監督は試合後、選手たちの戦いぶりを称えていた。「生徒たちには本当にお疲れ様と言いたいです。結果的に勝つことはできませんでしたが、勝敗を超えたもの、ここに立とうという思いで、みんなと一緒できたことは良かったと思います」。最後まで手に汗握る戦いに、だんだん采配にも熱を帯びていった。
「(特別な大会だが)駆け引きだったり、色んな事で、夢中に戦いました。甲子園は本当に素晴らしく、成長させてくれたと思っています」
苦楽をともに生徒たちと過ごし、その集大成となった甲子園。監督たちにとっても、今年の夏は忘れられない記憶となった。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)