「何の特徴もないチーム」の市船橋が得た手応え V候補・習志野に勝てた訳とは?

大会に入って選手たちの成長を実感「今までやってきたことが出ているんだと思います」

 初回は先頭に中前打を許したものの、続く打者の犠打で一気に緊張がほぐれた。「1つアウトを取れたことは大きかったです」。無我夢中で腕を振り、右のふくらはぎがつった3回途中に降板した。1点は奪われたものの、プロ注目の好打者が居並ぶ打線を考えたら十分すぎる出来。「もう少し体力をつけないと」と頭をかいたが、表情は充実感にあふれていた。

「何の特徴もないチームですよ」。櫻内剛監督はそう言う。投打ともに絶対的な存在はいない。だからこそ、攻撃では丁寧に安打を重ね、守備は丁寧にアウトを重ねていくことが勝利への近道だった。「きょうの勝ちが(チームの)すべてだと思います。逆方向やセンター方向にコツコツ打って点を取っていけました」。強引にならず、それぞれが役割を完遂し、夏をつなげた。

 昨秋は打力に課題を残し、冬はとにかくバットを振ってきた。櫻内監督も「いい形で春を迎えられそう」と手応えを感じていた矢先のコロナ禍。自粛期間が明け、練習試合が再開されると、思うような結果が出ずに夏を迎えた。「大会に入って振れるようになったのは、今までやってきたことが出ているんだと思います」とナインの躍進に目を細める。積み上げてきた練習量は裏切らない。千葉の頂点まであと3勝。丁寧に、ひとつずつ上っていく。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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