なぜ岡本に内角攻めを徹底できない…球団OBが指摘する阪神バッテリーの「甘さ」

「勝負の世界ですから、喧嘩腰で攻めても良かった。内角は意識させた方が勝ちですよ」

 そして6回無死一、三塁での第3打席には、カウント1-1から3球目148キロ内角ストレートをセンターへ弾き返されて同点。打線の繋がりを断ち切れず、一気に逆転を許した。

 藪氏が戦前に予想した通り、攻撃のポイントとなった岡本。「2打席目にしっかり内角を攻め切れていれば、3打席目のヒットはなかったでしょう」と藪氏は分析する。

「全然内角の厳しいコースを攻め切れていませんでした。(死球を)当ててしまったらゴメンナサイ、という覚悟で攻めないと。わざと当てるのは良くないことですが、当たってしまったら、それはそれで意味がある。特に、3連戦の初戦に攻めきることが大事。マスクを被った梅野選手にとっても、そうした方が2戦目以降がやりやすくなったでしょう。勝負の世界ですから、喧嘩腰で攻めても良かった。内角は意識させた方が勝ちですよ」

 藪氏自身、現役時代は内角を恐れずに投げきる技術と度胸を持っていた。特に、巨人在籍時の清原和博氏には徹底した内角攻めを貫き、1997年にはシーズン3つ目の死球を当てた試合で睨み合い、一触即発の状況を招いたこともある。内角攻めがいかに有効か。「勝負に対する姿勢が甘いと思う」と話す藪氏には、実体験が伴うから説得力が増す。

 現時点での自力Vは消滅し、ゲーム差を10.5まで広げられたが、まだシーズンは終わったわけではない。残り47試合、直接対決は9試合。最後の最後まで攻めの姿勢を忘れずに戦い続けたい。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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