160キロをいとも簡単に… 日ハム渡邉諒“直球破壊王子”の打撃をデータで迫る
直球を打った際の打球方向と、そこから見える傾向は?
次に、直球を打った際の安打全体の打球方向に目を向けていきたい。全24本の安打のうち、左方向とセンター方向の安打がそれぞれ9本ずつ、右方向への安打が5本、遊撃への内野安打が1本という結果となった。センター方向から左への安打が多いという傾向が表れているものの、特定の方向に偏ることなく、ある程度の打ち分けがなされていた。
本塁打の方向としては、左方向が1本、左中間方向が1本、センター方向が1本と、中堅から左方向にそれぞれ本塁打を1本ずつ記録していた。今シーズン唯一記録された逆方向への本塁打はツーシームを打ってのものであり、先述の通り、これらの3本塁打はすべてど真ん中の直球を打って記録したもの。やはり、甘い球に対しては強く引っ張って左方向に打球を飛ばすという姿勢が、本塁打の方向からもうかがい知れるところだ。
ここからは、直球を打った時とそれ以外の球種を打った時における成績の変化について見ていきたい。その結果は下記の通りだ。
打率や本塁打といった数字に加えて、出塁率、長打率、OPSといった各種の指標にも少なからず差が生まれていた。変化球に比べて直球に対する打撃の内容がかなり優れていることは、印象だけでなく数字にも表れていたといえよう。
変化球を打った際の打率.256という数字も決して悪いものではないが、長打率やOPSといった数字に示されている通り、打球の強さや塁打の期待値には大きな差異がある。やはり“直球破壊王子”が強打を発揮できる可能性が最も高いシチュエーションは、直球を捉えたケースであると結論付けられそうだ。
続けて、投手の左右による差にも目を向けたい。一般的に右打者にとっては、左投手よりも右投手のほうが打つことが難しいとされがちである。その通説通り、左投手の直球に対して22打数10安打の打率.454という素晴らしい数字を残しているが、右打者の直球に対する48打数14安打の打率.291という数字も、決して悪いものではない。直球であれば左右どちらの投手からも一定以上の打率を残せるところも特徴と言える。