160キロをいとも簡単に… 日ハム渡邉諒“直球破壊王子”の打撃をデータで迫る
直球だけじゃない! 得意とする変化球3つに対する、器用なバッティング
最後に得意としている変化球についても触れていきたい。まず、フォークに対しては打率.304と、速球ほどではないものの十分に優れた打撃成績を残している。また、7本の安打のうち3本が、低めのボールゾーンに落ちるフォークをヒットにしたものだ。低めに落ちるフォークは速球を待っていると反応してしまいやすい球種であるが、それでも空振りせずにヒットコースに飛ばすことができる点も強みといえよう。
他の球種の中ではスライダーに対して打率.310と、フォークよりも更に優れた数字を記録している。こちらは9本の安打のうち7本がストライクゾーン低めに来たスライダーを打ってのものとなっており、先述したフォークと同様、低めの変化球に対する対応力の高さが見て取れる結果となっている。
それに加えて、シンカーやツーシームといった球種に対しては打率.381と、直球を上回る素晴らしい打率を記録している。比較的ストレートに近い球速から変化を見せるという特徴を持っているこの2球種は、変化球の中ではやや直球に近い要素を持っている。これらの2球種をよく打っているのも、先述した直球への強さが理由の一つとして考えられそうだ。
また、この2球種に関しても、フォークと同様に低めのボールゾーンに落ちる球をヒットにしているケースが2本存在した。直球の場合はど真ん中の甘い球をきっちりと安打にするケースが目立っていたが、得意とする変化球に対しては低めの球を拾って安打にすることが多く、直球と変化球で打撃内容の違いが見て取れる点も興味深いところだ。
以上の結果を見ても、渡邉はその異名通りに、直球に対して一定以上の強さを見せていた。そして、渡邉が得意としているのは直球だけではなく、直球に近い球速のシンカーやツーシームに加えて、フォークやスライダーに対しても強さを見せるなど、直球以外の球への対応力も見せている点もポテンシャルの高さを示している。
“直球破壊王子”の名前通りの豪快な狙い撃ちと、ボールコースの球をも安打にする打撃センスを兼ね備えた渡邉。まだ25歳という年齢もあり、今後は打撃成績のさらなる向上も期待できそうだ。強打の二塁手という希少価値の高い存在となれるだけの才能を秘めた俊英が、今後もストレートを“破壊”し続けてくれるかどうか。独特の打撃技術を持った期待の若手に、これからも注目していく価値は大いにありそうだ。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)