医療従事者のための「鷹の祭典」と亡き恩人 鷹・中村晃の思いが込もった3安打2打点
15日夜中に急逝した川村隆史コンディショニング担当と「鷹の祭典」への思い
そんな地元ファンの気持ちを知ってか知らずか、中村晃は1001本目から1003本目までを固め打ち。先制とダメ押しという2つの打点で「鷹の祭典」の盛り上げに大いに貢献してみせた。逆に、17日に生まれた節目の1000本目のヒットは、遠い適地で多くのファイターズファンに囲まれながらも応援してきた北海道のホークスファンにとって、何よりのプレゼントとなったことだろう。
この日は「鷹の祭典」の3試合目。コロナ禍の中で開催される今年の「鷹の祭典」は、「THANKS HEROES」をテーマに掲げ、医療従事者をはじめコロナと戦う全ての人たちへの感謝を示すものとして行われている。選手会長を務める中村晃は「コロナ禍の今、僕たちに何ができるのか」と自問しながら、球団と今年の「鷹の祭典」の在り方について何度も話し合いを行ってきたという。特別な「鷹の祭典」への思いは、人一倍強いはずだ。
また、ホームに戻ってきたソフトバンクは、15日夜中に急逝した川村隆史氏(3軍コンディショニング担当)を追悼するために半旗を掲げ、試合前には思い出の映像とともに黙とうを捧げた。17日のヒーローインタビューで「川村さんはいつも見てくれていると思う。みんなで頑張っていきたいなと思う」と語っていた中村晃は、この日の追悼イベントでその思いをより強くしたに違いない。
節目の一打を見られなかった地元ファンへの“お詫び代わり”、選手会長としての「鷹の祭典」への思い、そして川村氏への追悼が込められたかのような今月初の猛打賞。19日からは球場の入場規制が緩和され、これまでの倍以上のファンが詰めかける。さらに盛り上がる「鷹の祭典」で、中村晃は通算2000本安打に向けて、また一歩ずつ歩みを進めていくことだろう。
(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)