球速が出なくても… 155キロ右腕の日体大・森がドラフト1位候補と呼ばれる訳

古城隆利監督「エースとして初のシーズンだったら、緊張もあったのだと思う」

 しかし、途中で勝負球に使っていた大きな変化量の方のツーシームが「決めに行くときの精度が良くなかった」ため、カーブとツーシームで的を絞らせない投球に転換。味方の好守備にも助けられ、7回までまとめた。味方の好守備にも助けられた。

「昨年の公式戦よりは落ち着いてバッターを見て、投げられたと思います。悪い中でも相手の目先を変える投球もできました」

 力任せの直球で押して、四球で自滅するパターンもあった。「悪い時は力むので、ボールがばらけてしまう。その点(今日は)力まずに投球できました」と開幕戦に収穫を見た。古城隆利監督も「あれだけ粘られることはあまりないので、エースとして初のシーズンだったら、緊張もあったのだと思う」と本来の出来から離れていても、試合を作った投球を高く評価した。

 プロ野球の投手だって、万全の状態で投げられる試合の方が少ない。どこかに不安を抱え、マウンドに立っている。しかし、試合を任された以上、それを言い訳にすることはできない。大学トップレベルのスピードボール、体や球の力強さは折り紙付き。リーグ初戦は本来の出来とはかけ離れていたかもしれない。だが「悪いなりに投げられた」自信を新たな持ち味でもある。そこに森の1年間の進化、収穫があった。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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