日本式か、メジャー式か…投手起用で負担が少ないのは? 医師と元MLB右腕が激論
藪氏「日本の投手はいい時期が6年、メジャーは10年以上続きます」
2010年限りで引退するまで、日米そしてメキシコ球界で通算17年の現役生活を送った藪氏は、こういった日米の違いが投手のキャリアの長さに表れていると話す。
「日本で先発投手のキャリアを考えてみると、いい時期が続くのは大体6年と短いんですよね。それはやっぱり練習のしすぎであり、無駄な投球をしすぎているからだと思います。カーショー(ドジャース)、ウェインライト(カージナルス)をはじめ、メジャーの投手はいい時期が10年以上続きます。それは本当に無駄を省いて、試合を一番に考えるから。日本では体が強いと言われる楽天の則本昂大投手でも7年目にあたる昨年、故障してしまいました。やっぱり6年なんですよね」
2011年から3シーズン、阪神で投手コーチを務めた際、藪氏が選手たちに伝えたのは、できるだけ疲労を残さない「リカバリーの大切さ」だったという。それには古島医師も大きく賛同する。
「疲労が蓄積すると、筋肉のパフォーマンスは落ちてしまいます。筋肉が疲労して出力が落ちれば、筋肉を支える靱帯や骨が影響を受けることになる。疲労した状態で投げ続けると、肩肘だけではなく膝や股関節にも影響は出ます。疲労がない状態を作って、次の登板を迎えることが大事。疲労に対して耐性は生まれますが、パフォーマンスが落ちてきたところで、100パーセント出せると錯覚して投げると、そこで怪我が起きるんですね。体の疲れと脳で考えるイメージがマッチしないので。それを防ぐためにも、1試合投げたら、あるいは100球投げたら、自分は何日休めば元のパフォーマンスに戻れるのか、自分なりの物差しを作っておくことは大切だと思います」
球数と投球間隔に関する議論は尽きないが、長いキャリアを送る上では、短期的な視点を持つのではなく、長期的な視点を持ちつつ、各投手の特性を理解することが大事。プロはもちろん、高校生以下のアンダー世代でもまた故障を避けるためには、疲労を残したまま登板し続けるような練習や登板スケジュールは避けるべきと言えそうだ。
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