甲子園から首都大学リーグへ…「1番で初打席初安打」の2人をつなぐ不思議な縁

日体大・松浦佑星【写真:編集部】
日体大・松浦佑星【写真:編集部】

ボテボテの一塁ゴロを内野安打にしてしまう脚力を持つ富島の1番打者だった松浦

 そして、もう一人。昨夏の甲子園を沸かせた遊撃手を覚えているファンも多いだろう。富島(宮崎)の1番・遊撃手として華麗な守備と走塁を披露した松浦佑星内野手だ。1916年創部の宮崎の県立高校を初の夏の甲子園出場を導いたリードオフマン。初戦で敦賀気比に敗れたが、その存在感は光輝いていた。

 敦賀気比戦でボテボテの平凡な一塁へのゴロを内野安打にしてしまった驚異の脚力。二盗はもちろん、忍者のように野手をすり抜けてホームに生還した走塁。左中間へ三塁打も放った。プロ注目の選手だったが、この春から日体大へと進んだ。

 日体大の古城隆利監督は「入学することが決まった時から1番で使いたいなと思っていました。足も速いし、守備もいい」。その期待通りの活躍を東海林同様、第1打席から見せたのだった。

 武蔵大との試合の初回先頭。好投手・山内大輔(3年・東海大菅生)と対峙した。松浦がとらえた打球は左中間へと抜けていった。柔らかなスイングから、快足を生かして、二塁打をマーク。その後、先制のホームを踏んだ。大学デビュー戦にも緊張はせず「とにかく得点圏へ進むという意識で打席に立ちました」。見事に勝利に貢献し、1番としての役割を果たした。

 高校時代は同じ1番打者でも、受け止め方が違っていた。「今は出塁することだけを意識してやっています」。自分だけが打てばいいという考えはもう卒業した。オープン戦の時から1番で起用されている意味を考え、より恐れられる1番打者を目指している。

 第1試合で鮮やかにデビューを飾った東海林のことを聞くと、松浦は「僕、星稜と2年生の時に選抜で対戦しているので、意識は少しします。(東海林に)負けないように頑張ります」。2018年春の甲子園、11-2で星稜が勝利しているが、松浦は2年生ながら1番・遊撃で三塁打を含む5打数2安打。一方、東海林は守備で途中出場。打席には立っていなかった。

 聖地で戦い、再び、場所を変えて交わった不思議な縁。これからは切磋琢磨する存在となっていくだろう。2人のルーキーの成長を見届けていきたい。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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