肘に負担がかかる球種は? TJ手術の権威と元MLB右腕で一致した意見とメカニズムとは…

藪氏の体験を聞いた古島医師は「もしかしたら引退とかなっていたかも…」

 まさに、手術に踏み切ってもおかしくない状態だった。それどころか、無理をすればそのまま引退に追い込まれる可能性もあったと、藪氏の話を聞いた古島医師は話す。

藪氏「アメリカで肘を診てもらっていたら、多分手術になっていたと思いますね。もうトミー・ジョン手術の権威のドクター・アンドリュースに診てもらいに行く直前までいったんですけど(笑)。いろいろな意見を聞いて、悩んでいる間に3、4か月経ったら痛みが消えてきて、『大丈夫かな』とやらなかったんですけど……」

古島医師「本当に紙一重じゃないですが、そこで治ったからよかったものの、治らなかったら、もしかしたら引退とかなっていたかもしれませんね」

 もちろん、靭帯を痛める原因は1つではない。球数や登板間隔、投球フォーム、幼少期からの酷使なども度々、問題視される。日米両方での登板経験を持つ藪氏は「滑る」とされるメジャー公式球についても、肘や肩への負担を大きくしていると指摘する。

「2005年にアメリカに行った時も、ボールがツルツル滑るのと日本より少し大きくて重い。なので、やっぱりしっかりグリップしないと抜けていっちゃうので、本当に肘に負担がかかるなと思いました。靭帯が切れるのも分かりましたね。やっぱりいつもより、ギュッと握る力も必要。軽くは握れないですね」

 肘や肩の故障予防は、今後も球界の大きなテーマになる。特に、成長段階での酷使は体に大きな負担をかけるだけに、将来を嘱望されていたプレーヤーが選手生命を絶たれてしまうという悲しいケースもある。古島医師は、育成年代の選手の負傷を防ぐため様々な活動を行っており、10月10日からは全6回のコースでオンラインサロン「開講! 古島アカデミー」第1期をスタート。野球に励む小中学生の指導者・保護者を対象に、子どもたちを怪我から守るための基礎知識を分かりやすくレクチャーする予定となっている。選手の肘を守るためにできることは、まだまだたくさんある。

【受講者募集中】
「Full-Count」では、10月10日(土)19時より全6回のコースで行うオンラインサロン「開講! 古島アカデミー」第1期(全6回)をスタートさせます。古島医師を講師にお招きし、野球に励む小中学生の指導者・保護者の皆さんに、子どもたちを怪我から守るための基礎知識を分かりやすくレクチャー。イベント詳細は下記URLをご覧下さい。

Full-Count Presents オンラインサロン「開講! 古島アカデミー」第1期(全6回) 肘治療の権威・古島医師から学ぶ、子どもに故障させない野球の基礎知識(仮)受講者大募集

(Full-Count編集部)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY