日本ハム杉谷は「レギュラーとして活躍できる」 元2軍監督が認めるマルチな才能

日本ハム・杉谷拳士【写真:石川加奈子】
日本ハム・杉谷拳士【写真:石川加奈子】

杉谷拳士は「1軍のレギュラー」として十分な能力が

 そして話題は野手陣へ。まず話題に上がったのは大田泰示外野手だ。インタビューを行ったのは8月9日だったが、田中さんも大田の復調の兆しを感じていた。

「開幕してすぐに調子が良い状態に入って活躍できればいいですが、そういったばかりではないですから。だた、(大田が)持っているものは一流のレベルです。なので本調子に戻ってくれば打ち出すと思います。今はそういう状況に入ってきていると思いますよ」

 この言葉通り、開幕直後は1割台だった打率もじわじわと良化し、10月1時点で打率.304を記録。8月に限れば月間打率.366と本来の姿を取り戻している。開幕という点では今季の変則日程の影響も考えられるが、田中さんはそれもまた「経験」の一つだと話す。

「全員が悩んで、考えて、練習に取り組んでゲームに臨みますからね。長年やっていればそういう時(変則的なシーズン)もあったりしますから。長くやっていく中で、『今年はスタートダッシュが悪かったな。来年こうしてみよう』とか、勉強して、分かったものの中で次につながる取り組みができると思います」

 開幕直後の不調も一つの「経験」だとするならば、それを乗り越えた大田のさらなる成長にも期待できる。田中さんも、大田の底知れない潜在能力に期待していた。

「(大田は)まだまだ年齢も30歳ですし、まだまだできますからね。いろんな経験をして、もっともっと彼は打てると思います。ホームランも40発、50発打てるくらいの能力も持っている。そのためにこれからどういうことをしていけばいいのか、というところでしょうね」

 田中さんが見てきたは数えきれないが、杉谷拳士内野手もその一人だ。近年では持ち前のキャラクターで注目を集める場面もあるが、田中さんは杉谷の野球センスも非常に高く評価している。

「彼は2軍にいた頃からずっと、1軍のレギュラーを取れると見ていました。小柄ですけど能力は高い。どちらかというと打力は右打席の方が良いですが、左打席でも打てるのも大きな特徴ですね。ただ、性格上ちょっとこう、猪突猛進で周りが見えなくなるところがあります。それが彼の特徴かもしれないですね(笑)

 堅実性というか、そういうものが出てくれば、十分1軍でもレギュラーとして活躍できるだと思います。2軍でも2年目に最多安打を打つだけの力がある。記録(当時イースタン・リーグ最多記録となる133安打)を作れるだけの能力があります。中田翔もファームで20発以上ホームランを打っていましたよね。それだけ打てると、1軍でも十分結果を残せる」

 杉谷は2008年のドラフトで指名され、プロの世界に足を踏み入れた。2007年の現役引退後、2010年から日本ハムのファーム打撃コーチに就任している田中さんは、いわば杉谷の成長をずっと見守ってきた人物であると言える。だからこそ、その評価も折り紙付きだ。

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