大量離脱のピンチをチャンスに変える ロッテ井口監督の采配に専門家が見た“気概”
森脇氏「監督がどういう戦い方をしたいのか、は選手にも伝わる」
「監督がどういう戦い方をしたいのか、は選手にも伝わる。(この日の采配は)優勝を目指しているチームで、俺もその一員なんだという自覚が持てる。1軍に上がった経緯は問題ではない。願ってもない最高のチャンスが巡って来たと思えれば、勇気が出て、行動にも直結する。監督の思いが選手に伝わることが大事なのだ」
森脇氏自身も、ソフトバンクで1軍チーフコーチ兼内野守備走塁コーチを務めていた2006年に、王貞治監督の休養を受けて監督代行を務めた際、選手たちを集めて勝負所に入った9月に自分の胸の内を語ったことがあったという。「ここに(かつて主力だった)井口、城島、小久保がいたらなんてことはこれっぽっちも思っていない。今いる選手たちだけで十分戦い抜いていける。優勝できる」。チームを束ねる長として、選手たちに自信を持ってプレーしてもらうための布石だった。
ロッテは今回、レギュラー陣も含めての大量離脱となったが、森脇氏は、これまでのロッテの戦い方を変える必要は今後もないと強調する。「今年のロッテは各打者が特に低めの球の見極めを徹底して積極性を持ちながら四球をもぎ取り、また有効なヒットエンドランが多く、時に突破口を見出したり、ビックイニングの布石となっている。有効なヒットエンドランは、相手にプレッシャーを与えるだけでなく余分な四球に直結する」。この日は7回先頭のマーティンがセーフティーバントの構えで揺さぶり、2ストライク後のカーブに詰まりながら中前に落とした。そこに、今年のロッテらしさが出ていたという。
「クリーンアップで、しかも外国人選手のマーティンが出塁に徹した。ローテの一丸野球の象徴である。打線では中村奨から福田秀まで経験値の高い選手が並び、万全ではないが攻守にしぶとい田村がいる。投手陣に目を向けると、沢村の加入、そしてチェン・ウェインを獲得して更に強化を図っている。これから大事なことは、今までロッテがやってきた野球を貫き通すことだ」