「好きじゃないとできない」 川端友紀、女子野球の未来を繋ぐために下した決断

エイジェック女子硬式野球部の選手兼コーチ・川端友紀【写真:佐藤直子】
エイジェック女子硬式野球部の選手兼コーチ・川端友紀【写真:佐藤直子】

2018年12月に一度は引退、そこで気付いた野球という存在の大きさ

 廃校となった小学校を利用したエイジェックの野球施設「小山ベースボールビレッジ」。秋晴れの9月某日、かつて校庭だったグラウンドに、女子硬式野球部の元気な声が響いた。この中で自身のプレーに磨きをかけると同時に、爽やかな笑顔を浮かべながら後輩たちの動きに細やかな目配りをするのが、コーチを兼任する川端友紀内野手だ。

 高校卒業後に塩野義製薬でソフトボール選手として活躍していたが、2009年に日本女子プロ野球機構の第1回合同トライアウトを受験。見事合格を勝ち取り、翌年から京都アストドリームスでプロ野球選手として一歩を踏み出した。打てる遊撃手として活躍。2013年にイースト・アストライア(現埼玉アストライア)に移籍後も勢いは止まらず、いつしか日本代表でもなくてはならない存在となっていた。

 首位打者3度、最高出塁率3度、打点王、年間MVP、ベストナイン、ゴールデングラブ賞……。プロとして数々の実績を積み、日本代表「マドンナジャパン」の主要メンバーとしてもワールドカップ(W杯)に4連続出場。2018年にはチーム最年長として大会6連覇の偉業を後押しした。

 だが、この年に現役引退を発表。大好きな野球から距離を置くことに決めた。その決断は決して簡単なものではなかった。

「怪我もあって、自分で思いきり『ここまでやりたい!』っていうところまで練習ができなかたり、セーブして誤魔化しながらやっていたところがありました。自分の中で『もっと(思いきり)やりたいのに……』っていう想いがずっと引っかかっていて。それでシーズンが始まる前に、今年でラストにしようと決めたんです」

 思い切ってトレーニングをするのも辞め、体も心も野球から解放された。だが、離れて気付くこともあった。

「野球って、私の中でこんなにも大きなものだったんだなって感じましたね」

コーチと選手を兼任する今「前よりもできることが増えた気がします」

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