オリ山本由伸は金子弌大+斉藤和巳 元指揮官が見る凄さ「上手さと強さを感じる」
パ・リーグのエースと呼ばれた金子弌大、斉藤和巳と重ね合わせ「上手さと、強さを感じる」
この場面、オリックスが4回に3点目となる追加点を奪った直後の出来事だった。仮に安田が打ち、ロッテに得点が入っていれば、流れが一気にロッテに傾く可能性もあった大事な場面。森脇氏は「少し抜け球はあったが、要所で流れが変わらないように考えて投げていた。修正能力の高さを改めて感じた。ゲームの流れを感じながらピッチングすることも大事」と、山本の投球術の高さに目を細めた。
さらに、この日1軍に昇格した高部や茶谷には、多くの球種を使わなかったことも評価ポイントだったという。「初めて対戦する打者には、あえて色んな球種を使わず、球筋を見せなかった。遊び球を使うと球数が多くなってしまう。長いイニングを投げることを考えたピッチングだった」。9回こそ抑えのディクソンにマウンドを託したが、先発として十分な仕事ぶりだった。
森脇氏は言う。「見逃し、空振り、ファールでカウントを稼げる強み、打者がいいバッティングをするのが難しいカウントを作れる的確さが山本にはある。5回まで大量失点せずにリリーフにバトンを渡すのではなく、相手の投手よりも少ない失点で投げ切ることが求められるレベルの投手です」。
これで山本は登板4連勝で、今季8勝目。そして森脇氏の目には、今年の山本は、かつて指導者として接していた当時の金子弌大や斉藤和巳のようにさえ映っているという。
「着実に階段を上がっていて、末恐ろしい。13、14年の金子の上手さに、驚異的な勝率を誇った斉藤和巳の強さを感じる。守備能力も高く、走者に対してもタフで、どれだけの投手になるのか、楽しみで仕方ないですよ」
金子は13年にはリーグトップの10完投、200奪三振で15勝8敗の成績を挙げ、翌14年に16勝5敗、防御率1.98で最多勝と最優秀防御率の2つのタイトルを獲得。チームもソフトバンクと最後まで優勝を争った。斉藤和巳は03年に20勝3敗、防御率2.83の活躍で最多勝、最高勝率、最優秀防御率の3冠に輝き、リーグ優勝。06年にも18勝5敗、防御率1.75、205奪三振で、最多勝、最高勝率、最優秀防御率、最多奪三振の4冠に輝いた。金子は14年、斉藤は03、06年に沢村賞も獲得している。そんな金子や斉藤と比較しても遜色ないという森脇氏。そんな山本の今後の更なる成長が、オリックスの勝利にもつながっていく。
(Full-Count編集部)