各球団は高校トップ級評価 清原や鈴木誠を彷彿…中京・元謙太の秘めたる魅力とは

中京・元謙太(げん・けんだい)【写真:福岡吉央】
中京・元謙太(げん・けんだい)【写真:福岡吉央】

昨夏の甲子園で4強入り、準々決勝の作新学院戦では決勝打となる逆転満塁本塁打

 岐阜の中京高で二刀流選手としてプレーしてきた元謙太(げん・けんだい)内野手は、高校生トップクラスの評価を各球団から受けている。10月26日のドラフト会議では、野手としての指名が濃厚だ。2年生ながらレギュラーとして出場した昨夏の甲子園では4強入り。準々決勝の作新学院戦では、決勝打となる逆転満塁本塁打を放ち、その名を全国に轟かせた。一番の魅力は何か、ドラフト直前にインタビューを行った。

 岐阜県多治見市出身の元が、地元の少年野球チームで野球を始めたのは小3の時。球は速かったが、元の球を捕れる捕手がいなかったため、小5までは捕手だった。小6で投手に転向。好きな選手はヤンキース・田中将大だった。

 それまでは、警察官や消防士に憧れていた。だが、小6でドラゴンズジュニアに選ばれたことで、プロ野球選手を本気で目指そうと思うようになった。中学に入り、兄も通っていた岐阜東濃リトルシニアに進むと、かつて阪急で内野手としてプレーした今井茂総監督から指導を受けた。今でこそ186センチ、86キロの元だが、小学校卒業時は174センチ、55キロとかなりの細身だった。

 今井監督は、16年に中京からドラフト9位で日本ハムに指名された今井順之助内野手の父でもあった。順之助も岐阜東濃リトルシニアの出身で、順之助の高校時代、元は同じ施設でウエートトレーニングをしていた縁もあり、日本ハム入りする前までは、高校の先輩でもある順之助にも打撃を教えてもらっていたという。

 中京に進むと、1年夏から投手としてベンチ入り。2年夏に念願の甲子園出場を果たした。投手として、対戦した全4試合に登板し、打っても15打数5安打。準々決勝の作新学院戦では2度マウンドに上がり計4回2/3、2安打、無失点と好投し、1点ビハインドの8回には左翼ポール際に逆転満塁本塁打を放ち、チームを準決勝へと導いた。準決勝では奥川恭伸擁する星稜に敗れたが、2年生ながらその名は一気に全国区となった。

「僕は観客が多ければ多いほど燃えるタイプ。そんなに緊張することはなかった。チャンスが来たら自分に回ってこいと思っていた。(本塁打も)どんな球を打ったのかも、覚えてないなくて、一塁を回ってスタンドに向かってガッツポーズした記憶しかないんです」

 だが、2年秋は県大会の3回戦で敗退。「疲労困憊で、サヨナラ死球を当てて終わった後、歩けなくなり、ベンチでも支えてもらっていました」。二刀流は体に負担となっていた。

高校通算18本塁打中10本を公式戦で放った勝負強さ 緊張とは無縁の前向きな性格

RECOMMEND

CATEGORY