甲子園沸かせた富山の“逸材左腕”の紆余曲折 怪我と挫折乗り越えて迎える運命の日
テレビで見る同級生たちの勇姿「負けたくない。自分もその同じ舞台でプレーしたい」
直球、スライダーを中心に、打者から逃げていくボールを混ぜながら組み立てるのが森田のスタイル。最速は151キロだが「そこが全てではない。スピードも求めつつ、制球の中で出していければいいのかなと思っている」と、質にこだわる。
入社1は目立った成績を残すことができず、昨年は公式戦登板なし。そして今年9月に行われた都市対抗野球の東海地区2次予選では先発の役割を担った。JR東海戦に先発し、3回1/3、無失点。だが、第1代表決定戦となったトヨタ自動車戦では、ドラフト1位候補として注目を集める栗林との投げ合いの中、2回2/3、4失点で無念の降板。先発の役割を果たすことはできなかった。
一塁手と投手を兼任していた子供の頃、憧れていたのはカブレラや李承ヨプだった。そして、高校ジャパン入りし、プロへの夢が現実のものになった。あれから6年。今では、かつて同じジャパンのユニホームに袖を通した仲間たちが、プロの世界で活躍している。テレビで同級生たちの勇姿を目にしている森田は「プロ野球を見ていると、単純にすごいなと思うし、負けたくない。自分もその同じ舞台でプレーしたい。まだまだ頑張らなきゃなと思う」と、声を弾ませる。
ドラフトまであと数日。「前日、当日はドキドキすると思うけど、まだ落ち着いています」と話す森田。プロの世界では「チームに必要とされる選手、勝ちゲームでその中心にいられるような選手を目指していきたい」と決意は固い。
「厳しい世界だと思いますけど、選ばれたらこの目標を達成できるよう、戦う準備をしたいと思います」
甲子園出場、高校日本代表選出、大学での左肘の手術、そして再起をかけた社会人と、紆余曲折を経てたどり着いたプロ入りのチャンス。森田は新たな頂きに挑むべく、朗報が届くのを楽しみに待っている。
(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)