女手一つで育ててくれた母へ Honda鈴鹿の苦労人右腕が誓う「野球で恩返し」

社会人チームに進んでわかった「稼ぐこと」の難しさ

 入社1、2年目は「全然納得いくような結果ではなかった」。だが、入社3年目の今年は成長の証を結果で示した。9月に行われた都市対抗野球の東海地区2次予選。松本はリリーフ登板した17日のヤマハ戦では本塁打を浴びるなど、納得の投球はできなかったが、第1代表決定戦となったトヨタ自動車戦ではベンチの期待に応えた。

 0-4で迎えた4回2死満塁のピンチで3番手として登板。これ以上、リードを許す訳にはいかない厳しい場面で、力のある直球で相手打者を打ち取ると、その後も7回までロングリリーフ。6回には味方の失策が絡み、1点を失ったが、140キロ台後半の直球を武器に、リリーフとしての責任を果たした。

「まだ納得の結果は残せていないですが、トヨタ自動車を抑え、流れを止めることができたので、少しは成長できたかなと思います」

 11月に行われる都市対抗野球の本大会では補強選手も加わるが「大事な場面で投げて、日本一に貢献したい」と、さらなる活躍に向け、闘志を燃えている。

 社会人になってからは、初任給で母にポーチを買ってあげたり、ボーナス時にプレゼントを用意するなどし、親への感謝の思いを伝えている松本。今回もドラフトで指名されれば、真っ先に母に知らせるつもりだ。

「お金を稼ぐ苦労は社会人に来てすごく感じた。お母さんは大変だったと思うが、ここまで来れたのは母のおかげ。親のありがたみが分かり、早く楽にさせてあげたいと思った。僕自身は不安で、まだ手応えもない。技術面では成長できたので、高校時代よりも自信はありますが、高校の時よりも結果は残せていない。でも、母は楽しみにしているので、いいお知らせができたらいいですね」

 松本は、苦労をかけながらも、好きだった野球を続けさせてくれた母への感謝の気持ちを胸に、ドラフト当日を待っている。

(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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