巨人・原監督が「ワンチーム」に込めた思い 会見で明かしたコロナ禍での戦い
原監督が会見を盛り上げる、岡本へ「若大将、しっかり言ってください」
そして最後は若き4番の岡本。ホットコーナーで戦い抜いた連覇だった。「4番・三塁」での戦い、責任について問われると「いや、それは僕自身が…」と言葉を詰まらせた。しかし、原監督は容赦しなかった。
「若大将、しっかり言ってください!」
岡本は静かに「そこは僕の口から言うのはおかしいかなと思います。そこはしっかり責任を果たせるように努力してきたつもりです」と語るに留めた。長嶋茂雄氏や原監督らが務めた偉大すぎるポジションでもある。現状に満足していない上、自分で自分を評価するのはおこがましいという思いだったのだろう。
だが、坂本の開幕前の入院、丸の不振など、岡本にかかる負担が大きい中でチームを支えた。原監督は「精神的にも、肉体的にもかなり大変だった時期を支えたのは和真。4番打者、チームの柱として戦い抜いた姿は勇人、丸がいなかったら相当やるんだろうと。2人が調子が出てきたら、お兄ちゃんたちに委ねるという姿も出てきた。しかし、今日のゲームにおいても素晴らしいバッティングをしてくれている。1年間、安定した働きをしてくれた。本当に成長してくれていると思います」と賛辞を惜しまなかった。
主力選手がコメントした後、原監督がそれに思いを重ねる。そんな会見のやりとりが印象的だった。今回、壇上に上がったのは4選手だったが、誰が上がっても、原監督は選手やコーチのことを的確に表現できただろう。日々、顔を合わせても意外に監督と選手との会話そのものは多くない。ただ、それだけ見識を広げ、視線を広げてきたからこそ、ファンに伝えられるメッセージも多かった。「ワンチーム」で経験した苦悩も喜びも糧とし、21日から始まる日本シリーズへ、気持ちを向けていた。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)