兄はDeNA外野手、好敵手は広島3位…「取り残された感満載」でも2年後に見据える夢
兄はDeNA楠本…「取り残されている感が満載なんですよね」
大道が広島から指名されると、「あ!」と高校時代の同級生の顔が浮かんだ。花咲徳栄からドラフト2位で広島に入団した高橋昂也。大道はドラフト当日、「高校最後に負けた相手。一緒のチームになるのは運命なのかなと思います」と話している。楠本は「2人で投げてほしいんですよね。頑張ってほしいなって思っています」とエール。だが、手放しではない。
「僕も2年後、行きたいですよ」
楠本は大学卒業後、社会人野球の強豪チームに進むことが決まっている。だが、進路には気持ちが揺れ動いたという。新型コロナの影響で活動自粛が長引き、大会は次々と消滅。プロ志望届を提出したい思いはあったが、「春にアピールができていない」と引っかかった。昨年の大学選手権初戦で、東北福祉大は創価大に1-0で勝っているのだが、その1点は楠本のソロ本塁打だった。その頃から声をかけてくれるチームがあった。社会人チームに返事をするか、プロ志望届を出すか――。「春がなかった」ということが人生の選択のターニングポイントとなり、「自分はもっとレベルアップしないといけない」と社会人野球で力をつける決断をした。
学生野球最後の大会でドラフト指名された2投手と対戦。大学のチームメイトである元山、山野もヤクルトから指名され、昨年は津森宥紀がソフトバンク入りした。高校のチームメートもトミー・ジョン手術からの復活ロードを歩む。そして、兄・泰史はDeNAの外野手。その兄の小、中学生時代のチームメイトは楽天・松井裕樹…。
「本当に身近な人がプロに行き過ぎっすよ。取り残されている感が満載なんですよね。でも、大学で野球を辞めたら先がないですけど、続けるので。恥じないような活躍をして、僕もプロに行きたいです」
今年のドラフトでは大学の2学年先輩も夢の扉を開いた。三菱自動車岡崎から阪神6位指名された中野拓夢だ。それが励みになるという。大卒の社会人選手のドラフト解禁は2年目。新型コロナの状況にもよるが、今年できなかったアピールを続ける時間は、充分にある。
(高橋昌江 / Masae Takahashi)