鷹の育成出身だけで史上最多“6冠”制覇 盗塁王の周東が語った“なぜ育つか”
周東の言葉が表す育成選手が育つ土壌「やったらやった分だけ繋がってくる」
この4人だけでなく、正捕手の甲斐拓也やこの日遊撃手として出場していた牧原大成など、今やチームの柱となるほどの選手を輩出したソフトバンクの育成システム。総合力では支配下指名に及ばなくても、例えば周東の脚、甲斐のスローイングなど、一芸に秀でた選手を育成ドラフトで指名。数年かけて徹底的に鍛え上げて、球界を代表する選手に育成している。
とはいえ、結局は選手当人の努力が最後はモノを言う。9日の試合後の周東の言葉が印象的だ。「やったらやった分だけ繋がってくるな、と思います」。育成で指名されても、背番号は3桁。いくら頑張っても1軍の公式戦には出られない。支配下選手とは一線を画して扱われ、厳しい言葉も浴びせられるという。
そこで支配下選手たち以上に練習し、考え、才能を開花させた者が千賀であり、石川、周東、甲斐のようになれる。ソフトバンクの育成出身者は確かに華々しい活躍を見せているが、彼らはやはり人一倍の努力を積み重ね、並居る支配下指名の選手たちを追い抜いて今の地位に辿り着いたのだ。
育成出身選手だけで6つのタイトルを占めるのは、プロ野球の長い歴史の中でもちろん史上最多となる。「やったらやった分だけ繋がっていく」。ソフトバンクの育成だから、だけで育つわけではない。努力を積み重ね、武器を磨き上げることができた者だけがスポットライトを浴びる。ソフトバンクの育成出身選手たちの躍進の真実は、まさにこの周東の言葉に“凝縮”されている。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)