「ホテルの部屋でいきなりバットを…」後輩が見た巨人・坂本勇人の凄さと魅力
秋季キャンプ終了後にあった坂本からの1本の着信
巨人・坂本勇人内野手が史上53人目の2000安打を達成した。卓越した打撃技術は努力の賜物。後輩たちはレベルの高さを痛感しながらも、必死にくらいつこうとした。2018年に現役を引退し、現在は巨人アカデミーでコーチを務める辻東倫さんは現役時代、坂本に自主トレに連れて行ってもらった感謝を忘れない。近くで見ていたからこそ分かるその「凄さ」とは……。
辻さんは2013年にドラフト3位で菰野高(三重)から巨人に入団。U-21侍ジャパンに選出されるなど、将来を嘱望された左の巧打者だった。2016年の秋季キャンプを終え、寮に戻った時のこと。辻さんのもとに1本の着信があった。声は6歳年上の主将・坂本だった。
「『自主トレ、どうするんだ?』と言っていただけました。それまで自分は高橋由伸さんに連れて行っていただいていたのですが、監督になられたので、坂本さんは自分のことを気にかけて下さったのだと思います。(合同自主トレに)誘っていただけたので、ぜひお願いします、と」
グアムでの自主トレで同じ内野手の先輩にくらいついた。ティー打撃、ロングティー、フリー打撃…練習する姿を目に焼き付けた。マンツーマン指導もしてもらった。宿泊先に戻ってからも素振りを見てもらい、打席での考え方、ボールの待ち方、目付の位置なども聞いた。
「グアム自主トレの練習量は自分が想像していた以上に多かったです。スイング量も多くて、練習が終わったと思っても、ホテルの部屋でいきなりバット持ち出して、裸足で本気のスイングしていたこともありました」
無心でバットを振っていた。体に染み込ませるように……。
辻さんはその年から坂本の自主トレに連続して、同行させてもらい、練習をより深く観察するようになった。
「僕が感じたのは、年が重ねるごとに勇人さんのスイング量は増えていると思います。体の変化もあると思いますが、スイングスピードと体をマッチさせるというか、負けないようにしていると感じました」