ホークスとロッテの差はどこに? 元鷹コーチが指摘した「シーズンと違う野球」
2点を追う5回無死一、二塁で福田秀に送りバントをさせなかったのはなぜか?
一方のロッテには、飯田氏が「シーズン中通りの野球ではなかった」と指摘した場面があった。
3-5で2点を追う5回の攻撃だ。この回から登板した相手の2番手・松本から、先頭の菅野が四球を選び、続く中村奨も中前打。無死一、二塁で、打席には7番・福田秀が立った。飯田氏は「シーズン中であれば、送りバントをさせ、1打同点の場面を作っていたはず」と見たが、強攻させて空振り三振。後続も倒れて1点も取れなかったことは、確かに試合展開の上で痛かった。背景には、相手に王手をかけられて迎えた短期決戦の第2戦で、延長10回引き分けでも敗退という状況があり、2点ではなく3点取らなければならない重圧があった。
「それでも、泥臭く、1点ずつコツコツ取っていくのがロッテの真骨頂。シーズンと違う野球になってしまったことで、選手が勝負勘をつかみ切れなった印象だ。あの場面は打順が8、9番に向かうところではあったが、走者を二、三塁に送り、内野ゴロで1点でも取っていれば、展開は変わっていたかもしれない」と飯田氏。結局ロッテは、9イニング中6度も先頭打者が出塁しながら、得点につながったのは1回と7回だけだった。
もちろん、チーム最多の25本塁打を放っていたマーティンがシーズン終盤の10月22日の西武戦で左足首を痛め、CSに出場できず打線が著しく迫力を欠いたことも、ロッテの敗因の1つ。それでも、普段通りの野球を貫けずに負けたことには、悔いが残るかもしれない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)