ホークス森とロッテ益田が歩んだ守護神への道 100ホールド&100Sを達成できた理由
被打率にも表れる投球の軸である3球種の質の高さ
投球の軸としている球種には、150キロを上回る速球と、独特の軌道を描くカットボールの2つが挙げられる。この速球系の2球種に加え、緩急をつけるナックルカーブ、カットボールとは逆方向に変化するツーシームも備える。豪快なフォームから繰り出される快速球と、多彩な球種を操る器用さを併せ持っていることが、ルーキーイヤーから安定した成績を残し続けている理由の一つだろう。
それに加えて、中継ぎから抑えに転向して以降、鋭く落ちるスプリットが加わったことも大きい。従来の速球とカットボールと同様に一定以上の球速を計測し、そこから異なる変化をすることもあって、より空振りを狙いやすい球種となる。スプリットの割合が増加したことで、打者にとってはさらに的が絞りづらくなった面はあるはずだ。
こういった投球の幅の広さに加え、コントロールの良さも持ち合わせているところが、とりわけ優れた点でもある。キャリア通算の与四球率が2.10と安定した制球力を維持し続けており、これまで年間20四球以上を記録したことは一度もない。制球難から自滅するケースが少ないということも、長年にわたる好投に寄与しているだろう。
続けて、森の今季の球種別の被打率についても見ていこう。
スプリットとカットボールの被打率がそれぞれ1割台と、決め球として用いることも多い2球種が効果を発揮している。それに次いで被打率が低いのは速球であり、投球の中心となっている球は総じて安定していると言えそうだ。ツーシームは被打率.444と打ち込まれているが、各球種を的確に使い分けながら相手打線の反撃を封じていることが感じ取れる結果だ。