球場に届いた批判の手紙、3日間泣いた札幌の夜… 甲斐拓也が激白する中傷と苦悩の1年
本拠地に届いた批判の手紙は1通ではなく何通もあった…
「これだけやろうとしているのになんで、とキャッチャーって本当に辛いポジションだな、と思った時間でした。あの時は寝れなかったし、泣いても泣いても涙が出る感じでした」。誰にも会いたくないから、とホテルの食事会場にも行かず。1人でコンビニで食料を買い込み、自室で1人食べ、そして、また考えて涙した。
その後もしばらくは苦悩の日々を過ごしていた。「なかなか立ち直れなかったですね。どれだけやっても負ける時は負けるし、うまくいかないこともある。ただ負けると『甲斐だから』となったり、そういう声も聞くじゃないですか。そういうふうに見られているんだな、って思っちゃうし、怖くなる時もあった。自信はなくなりかけましたし、そういう状態はしばらくずっと続いていましたね」と振り返る。
最後まで優勝を争ったロッテにはシーズン途中まで4勝11敗1分と大きく負け越していた。シーズン中盤からチームは首位に立っていたが、ロッテ戦の苦戦もあってイマイチ波に乗り切れないチーム状況に、批判の矛先は正捕手の甲斐に向いていた。厳しい声は日増しに高まり、それは否が応でも耳に入ってきた。
「いろんなところでいろんな声が聞こえて、聞きたくない情報とか目に入れたくないことも自然と入ってきましたね」
SNS上などでは匿名でファンが批判の声をあげ、それはリード面だけではなく、甲斐の人格批判とも取れるようなエスカレートしたモノも散見された。本拠地PayPayドームには批判の手紙まで届いた。それも1通だけではなく何通もあったという。そこには「お前を見ているとムカつくんだよ」「ツーストライクになったら外ばっかりになるのやめろ」などといった批判の文面が綴られていた。